被害者3万人! ケフィア事業振興会「1053億円巨額破産」の深層

古典的な集客マジックで投資家から収奪
伊藤 博敏 プロフィール

売り上げの大半は投資家からの借入金

ケフィアをリードしてきたのは、鏑木(かぶらき)秀彌(82歳)、鏑木武弥(50歳)父子。1992年、ケフィアヨーグルトのたね菌販売を目的に創業された。会員制通販サイト「ケフィアカルチャー」の運営及び、ケフィアグループの管理業務を手掛ける。その中心は、「オーナー制度」「サポーター制度」を利用した資金集めである。

 

12年7月期に44億円だった売上高は、65億円(13年)、228億円(14年)、461億円(15年)、722億円(16年)、1004億円(17年)と、急増した。これにともない利益も増えており、一般企業なら喜ばしい増収増益だが、ケフィアの売り上げの大半は投資家からの借入金。増収は資金繰りの苦しさの象徴で、破たんへの道をひた走ったことになる。

ケフィアヨーグルトの時からこの路線をリードしたのは秀彌代表だが、各種事業展開のうえで、例えば「干し柿で世界一になる」と、夢を語って通販会員や投資家をつなぎ止めてきたのは武弥氏だった。農産品生産販売の中核のかぶちゃん農園代表を務めている。

大学卒業後、農業系出版社勤務の後、青年海外協力隊員として2年間、南米パラグアイで農業指導。帰国後、秀彌氏の仕事を手伝う形でケフィアグループ入り。04年、かぶちゃん農園を設立し、代表に就任する。

「明るく陽性で弁が立つ。柿に対しては、並々ならぬ思い入れがあって、柿色のマフラーやチーフを身につけ、乗っている高級外車も柿色のカラーにしたほど。カナダとの窓口、再生エネルギー関連の担当も武弥氏。対人関係は上手く、企業家として発想はいいけど、経営者としての資質に欠けた。もっとも、すべての決定権は秀彌氏だから、責任は親父さんに着せられるけどね」(父子を知る事業家)

カナダのケベック州には思い入れがあるようで、武弥氏は、メープルシロップ、蜂蜜、グランベリーなどケベックの農食料品を輸入販売しており、昨年11月には長年の貢献を認められ、ケベック州政府から勲章を授与されている。シルク・ドゥ・ソレイユの日本招致にも尽力したという。

年利10%を支払って、事業拡張ができるようなビジネスなどない。一発逆転を狙ったかのように、手当たり次第に事業を展開していったが、昨年末、自転車を漕ぎ続けることができなくなり、オーナーへの買戻代金の支払いは行えなかった。

今年2月になると、「新システムに移行するから買戻代金は5月中旬以降、支払う」と、苦し紛れの通達を出したものの、時期が来ても実行はされず、投資家たちが騒ぎ出し、国民生活センターへの相談が殺到。7月10日、消費者問題に詳しい紀藤正樹弁護士を団長に「ケフィアグループ被害対策弁護団」が結成された。

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