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被害者3万人! ケフィア事業振興会「1053億円巨額破産」の深層

古典的な集客マジックで投資家から収奪

半年で約10%の利回りを保証

何にでも手を出す老後資金収奪集団――。

東京地裁に9月3日、破産を申し立てたケフィア事業振興会(東京都千代田区)の運営者たちを、ひとことで評すればこんな表現になるだろうか。

 

負債総額は1053億円で債権者数は3万人。「オーナー制度」と称して干し柿、ぬかどこ、各種ジュースなどのオーナーになれば、半年で約10%の利回りを保証。あるいは「サポーター制度」で、太陽光やバイオマスなどの発電、あるいは電気自動車事業への投資で7~8%の金利を約束していた。

常識で考えれば、そんな利回りを投資家に支払って成り立つビジネスはなく、目新しい投資対象を見つける度に新会社を設立、「かぶちゃん農園」「かぶちゃん水産」「かぶちゃん乳業」「かぶちゃん電力」「ケフィア・サプリメント」「ケフィアカルチャー」「飯田水晶山温泉ランド」など約70社に及ぶ。

それだけ多岐にわたる事業を運営できるプロがいるわけでもなく、結局、新規で集めた資金を満期が来た商品の元利払いに充てる自転車操業に陥った。

破たん必至の投資マジックが、1053億円に膨らむまで“長持ち”したのは、商品の多くが農産品で「毎月お届け便」の利用者などもいて、ケフィアを身近に感じられ、安心感があったこと。

それに、マメにコミュニケーションを図り、歌舞伎公演への招待、世界的に有名なサーカス「シルク・ドゥ・ソレイユ」の貸切公演、チャーター機を手配したうえでの海外旅行とイベントを仕掛け、有力顧客を手放さなかったからである。

投資家は、おおむね小ガネを持つ老年層。オーナーとなって一口5万円の干し柿コースに入会。半年後に5万5000円で干し柿を引き取ってもらうという「買戻特約付売買契約」だが、それを繰り返すうちに完全に信用、500万円、1000万円と預けている投資家は少なくない。被害者弁護団が開いた説明会(後述)では、「同居している80代の母親が6000万円を振り込んでいた」と、嘆く50代男性の姿があった。

高利で誘い、小口で信用させ、商品を配って安心させ、コンサートや演劇でつなぎ止めるという投資詐欺は、これまでに何度も繰り返されてきた。過去の例では回収は10%に満たず、老後資金を食う悪質さで共通している。

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