「子どもがいるから」離婚しない妻たち

わたしが離婚した平成28年の離婚件数は21万6798組で、未成年の子がいるのは約58%にあたる12万5946組厚生労働省平成 28 年 人口動態統計月報年計(概数)の概況より)。その1組がわが家である。子どもがいて離婚することのハードルは高い。

離婚するかしないかで揉めていた1年間、わたしの逡巡の理由は子どものことだけだった。離婚話を出すまでのわたしは従順な妻でやさしい母だったから、元夫の機嫌さえよければ家庭は平和だった。そんな家庭を壊していいのか。子どものために我慢すべきか。

実際、「子どものために」という理由で離婚しない夫婦は多い。知り合いのある女性は、妻に自由な時間を与えず、自分の都合にすべて合わせさせるモラハラ気味の夫に疲れ果てている。しかし、上は成人から下は小学生まで子どもを抱え、「いまはとても離婚できない」と言う。「せめて下の子の受験が終わるまでは……」

ある女性は、夫との仲は冷え切っているが、子どもは結婚して家を出たというのに「息子から実家を奪いたくない」と離婚を選ばない。まだ孫はいないが、いずれ孫を連れて遊びに来るかも、そんなとき1人暮らしのマンションではなく戸建ての家で、かたちばかりだとしても夫婦で迎えてやりたいと言う。

わかる。

しかし、わたしの心は悲鳴をあげていた。子どもが巣立ち、夫婦2人暮らしになる日は近い。子どもというクッションもなく、夫の機嫌をうかがいながら過ごすのか。子どもの世話がなくなっても、仕事も趣味も友だちづきあいも門限を気にして中途半端に終えるのか。

子どもがいても離婚した女たち

子どもがいるのに、離婚した女性の話が聞きたいと思い、子どもを置いて家を出た昔のママ友に連絡をとった。久しぶりに会う彼女はわたしの話を聞いて、「智子さんて、絵に描いたような良妻賢母だと思ってたのに、意外と大胆。びっくりしたー」と笑った。そして、どうして子どもがいるのに離婚したの? とわたしが聞くと、「夫婦って、無理になったらもう無理なんだよ」と。シンプルな答えだった。

それから彼女は、派遣で働きながらイラストを描いていること、いずれそれを本業にしたいことを話してくれた。離れて暮らす息子については、「生活ぶりを見ているとイライラしちゃうから、たまに会うくらいでお互いちょうどいい(笑)」。あっけらかんとした彼女の姿に、このくらい気楽に生きてもいいのかも、と思った。

もう1人、別の友だちに会った。彼女は数年前、小学1年生の娘を置いて離婚していた。理由はたくさんあるが、突き詰めれば「性の不一致」が大きかったという。離婚してからのほうが元夫との関係はよくなったそうだ。娘とは頻繁に行き来ができている。

彼女は、「たとえ子どもでも、相手がどう思うかどうかは自分には左右できない。だったら、自分の好きなように生きたほうがいい。自分を大事にしてあげられるのは自分だけなんだから」と言った。なるほど、と思った。