カジノの都といえばラスベガス。マフィアが作った街を日本では国家主導で作るというのか(photo by istock)

「世界一ギャンブル依存症が多い」この国でカジノが失敗する理由

IRは、カジノの破綻を見越して造れ

2020年の東京オリンピック開催に続いて、2025年の大阪万博の開催も決定した。この2つの国際イベントに共通しているのは、閉会後にその跡地が、カジノ用地として構想されている点だ。

7月に、いわゆるカジノ法案(カジノを含むIR〈統合型リゾート〉実施法)が成立し、日本にカジノ・リゾートが建設されることが現実味を帯びてきたが、法案審議時の世論調査では、一貫して反対意見が上回っていた。それなのに、なぜこの国はカジノ建設に突っ走ろうとしているのか。

カジノを題材にしたミステリーの著作もある横溝正史賞作家・河合莞爾氏も、「すでに世界有数のギャンブル大国であり、ギャンブル依存症の患者数が世界でも突出して多い日本」に、なぜカジノが必要なのか、違和感しか感じないという。

 

東京五輪は、カジノ開業のために招致された!?

「あれ――? ちょ、ちょっと待って下さいよ?」
 浜名が思い出したように、急に早口で喋り始めた。
「槙原佑太郎と緒田真樹といえば、カジノ解禁の急先鋒だったのと同時に、『東京オリンピック招致運動』の中心人物でしたよね? 二〇一六年の招致に失敗したあとも、東京は連続して招致に名乗りを上げた。そして二〇二〇年の招致に成功し、東京でオリンピックが開催されるのと同時に、日本初のカジノをオープンした。ということは――」
 青木佳純が、その後を引き継いだ。
「東京オリンピックを好機と捉えてカジノ解禁に踏み切ったんじゃない。カジノを解禁するために、東京オリンピックを招致した――そうなのね?」
(祥伝社文庫『デビル・イン・ヘブン』より)

去る2018年7月20日、「カジノを含むIR(統合型リゾート)実施法」が参議院本会議で可決・成立した。これで日本はいよいよカジノ開業に向けて動き始める。と言っても、2016年の12月にはすでに「IR推進法」は施行されていたので、予定通りの流れだ。

今から5年前、2013年9月に「2020年東京オリンピック」が決定した時、私は「いよいよ始まったな」と思った。前回の2016年大会に立候補して落選したのちも、東京都は執念深くオリンピックの招致にこだわり続けた。

挙国一致で盛り上がっているように見える東京五輪だが、誰が得をするのかよく観察しておくべきだろう(photoby gettyimages)

なぜそこまでオリンピックに執着するのか。私は、それは石原慎太郎都知事から続く悲願「東京湾カジノ」開業の宣伝イベントとするためだとしか思えなかった。東京オリンピックもまた、湾岸のお台場を中心に開催される計画であったからだ。

オリンピック以上に海外からの集客を見込めるイベントはない。現に2012年のロンドンオリンピック開催時も、イギリスはAspers(アスパーズ)という国内最大級のカジノを建設し、オリンピックパークの隣に先行オープンさせた。東京都もこれに倣(なら)ったのだ。

東京湾岸では、急ピッチで五輪施設の建設が進んでいる(photo by gettyimages)

ちなみに、私が前出の『デビル・イン・ヘブン』を脱稿したのは2013年の7月末。東京オリンピック決定の約1ヵ月前だった。今考えると随分と危ない橋を渡ったものだが、これも、オリンピックとカジノは不可分と確信していたからこそのフライングだった。