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夏の甲子園を観ていて感じた「アンリトゥン・ルール」のフシギ

明確な基準はない、というけれど

アンリトゥン・ルール

夏の甲子園で「アンリトゥン・ルール」なる“球界用語”が話題になりました。創志学園の2年生エース西純矢投手のガッツポーズや、準優勝した金足農の吉田輝星投手の“侍ポーズ”が、その対象となりました。高野連は「国際大会ではやってはいけない行為」と説明しました。

言うまでもなく「アンリトゥン・ルール」に明確な規準はありません。明文化されないからこそ「書かれざるルール」なのです。

しかし、大まかなガイドラインは存在します。私が知る限りにおいて、報復球がバッターに向かって飛んでくるのは(1)6、7点以上リードしていて7回以降、盗塁をしたりバントをしたりした時。(2)やはり6、7点以上リードしていて7回以降、ノースリーからピッチャーが投じたストレートを強振した時。(3)逆に6、7点以上リードしている側のピッチャーが7回以降、変化球でかわすようなピッチングをした時。(4)ピッチャーにバットのヘッドを向けたり、足場を掘り固める行為をした時。

(5)ホームランを打った瞬間、走るのをやめて打球の行方を目で追ったり、バットを高々と投げ捨てたり、ガッツポーズをつくったりした時。(6)スパイクの歯を野手に向けてスライディングを仕掛けた時。(7)ホームベースを手ではいたり、バットをホームプレートに置いたまま一塁に向かった時。(8)相手にツバを吐いたり、吐く仕草をした時。(9)禁止用語や差別用語を相手に向かってはいた時。(10)自軍の選手が明らかに狙われたと判断した時――等々です。

 

日本人が意外に感じるとしたら(3)の大量リードを奪っている側のピッチャーが後半、変化球でかわすようなピッチングをした時、でしょう。

これは私も現地で取材をしているうちに知ったのですが、米国では「そこまでして勝ちたいのか」と受け止められてしまうようです。要するに「死者にムチ打つ行為」と見なされるのです。

以上、10項目ほど具体例を紹介しましたが、では5点差だったら7回以降、バントや盗塁をしてもいいのか、と言えば、そうではありません。相手が主力選手を引っ込めたり、監督が采配を振るわなくなった後に、こういうことをしたら、これもまた報復の対象となるのです。

先述したように、「アンリトゥン・ルール」に明確な基準はありません。要は相手への礼を失するようなプレーや行為を慎むことです。ただし、日本には「最後まで手を抜かないのが相手への敬意」という考え方もあります。カルチャーギャップのすり合わせは、なかなか容易ではありません。