依存症患者にとって、スマホは待ったなしの底なし沼
なぜこんなふうになってしまうのだろうか。
ゲーム依存症治療の名医である久里浜医療センターの樋口進氏の著書『スマホゲーム依存症』によれば、依存症の症状は脳の変化で説明できるという。患者の脳では、「理性の働きが落ちていき」、ゲームを「「プレーしたい!」という抑えがたい欲求が生じ」、「一定の刺激では満足できなくなる」などの変化が起きているそうだ。
こうした変化はアルコール依存症や薬物依存症、ギャンブル依存症などでも見られるそうで、スマホゲームが依存を引き起こすと言える医学的な根拠とのこと。
しかも残念なことに、依存症は回復しこそすれ、完治はしない。たとえば糖尿病のようなものだと家族の会で教わった。つまり、一度なってしまったら元には戻らない。なんと恐ろしい病気だろう……。

こんなに怖い病気はできれば予防したほうがいいに決まっている。とはいえ、本質的な症状は「さまざまな問題が起きているのにゲームがやめられない」というもの。つまり、ゲームにのめり込んでいても、問題なく生活を送れていれば病気ではない。ストレスを解消するために楽しいことをするのはむしろ自然な行動だ。
となるとひとつの疑問が生じる。引きこもりでも借金苦でも成人病でも、問題が起きてからでなければ病気と認められず、そうなってからではもう後戻りできないのだとしたら、私たちはどのようにこの病を予防したらいいのだろうか?
今回、恥ずかしながら息子の話を書いたのは、少しでもこうした依存症を防ぐ参考になればと思ったからです。息子がスマホゲーム依存症になってしまったのはもう仕方がないこと。
これから私ができるのは、息子が少しでも回復するように向き合ってゆくことぐらいだけれど、これだけは確実に言えます。実際に依存症になると、本人も家族もとても苦しい。そして、もし避けられるのであれば、こんな苦しさはなるべく味わってほしくないと思う。
依存症は誰でもかかる可能性がある病気です。決して他人事ではありません。しかも、子どもたちにもこれだけ広くスマホが普及しているいま、スマホあるいはスマホゲーム依存症は大きな社会問題となる危険をはらんでいるだろう。
もし、いま自分の子どもが依存症かもしれないと少しでも思っていたら、一刻も早く専門医へ行くことをおすすめします。
依存症の患者にとって、スマホは待ったなしの底なし沼だから。
息子の場合も、崖から転がり落ちるようにスマホゲームにハマっていった。
(つづく→「わずかひと月足らずでスマホゲーム依存になった息子の悲劇」https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57614)