2033年、日本人がスズメバチの大群に襲われてしまう理由

「世界一受けたい授業」補習編
河合 雅司 プロフィール

所有者不明土地問題研究会は、今後の年間死亡数の増加を織り込んで将来推計も試みている。

相続に対する意識が希薄化したままで、現在の所有者不明土地の持ち主解明が進まないと仮定した場合、2020〜2040年に発生する土地相続のうち約27〜29%が相続未登記になる可能性があり、2040年までに新たに310万ha(約3300万筆)増えると計算しているのだ。

現存する約410万haと合わせれば、約720万haとなる。北海道の約9割にあたる広大な面積である。

 

駆除数は4年間で倍増

それでは、所有者不明土地の広がりは、あなたの暮らしにどのように降りかかってくるのだろうか?

その影響は、個々人にとって決して小さくない。例えば、住宅密集地で狭い私道を拡張し、公道化しようと計画しても、その協議が進まないことになる。

狭い私道のままだと、消防車などの緊急車両が通れず、仮にその区域で火災が起きた場合、なかなか鎮火できないことも想定できよう。たった1軒のために集合住宅の売却計画そのものが頓挫することにもなりかねない。

私の知り合いがスズメバチに刺されたことがあったが、よくよく調べてみると、所有者が不明である近隣の空き家にいつの間にか巣ができていたことが原因だった。巣は簡単に駆除できず、とんだ不運に見舞われたというのだ。

実際、東京都内でもスズメバチの巣の駆除数は年々増加している

渋谷区の調査によれば、2013年に78件だった駆除数は、14年に106件、15年に126件、16年に155件と、4年間で倍増した。新宿区の調査でも、2013年に82件だった駆除数が、14年に111件、15年に154件、16年に158件と着実に増えているのだ。

大都市部でも空き家や所有者不明土地が増えていくに従って、人間にとって厄介な「害虫」がどんどん巣くってゆく。田舎の山の中にさえ行かなければ、スズメバチになど襲われないという考えは今後通用しなくなるだろう。

『世界一受けたい授業』で放映された再現ドラマのように、2033年に71歳を迎えるIKKOさんが、都心にいるにもかかわらず、スズメバチの大群に襲われていた事態は、近い将来、あなたにも起こりうることなのである。

※河合雅司『未来の年表2』(講談社現代新書)より、一部加筆

『年表2』も20万部に!