2033年、日本人がスズメバチの大群に襲われてしまう理由

「世界一受けたい授業」補習編
河合 雅司 プロフィール

相続する財産が土地や家屋だけならば、相続放棄という選択もあるが、預金や証券といった金融資産がある場合、それらも放棄しなければならないため、なかなか思い切れない。

とはいえ、都市部の多少なりとも便利な場所にある物件でもない限り、すぐに買い手が見つかるわけでもない。

結果として荒れ地が増えると、不動産取引が不活発となり、資産価値がますます低下する。

団塊世代には、高度成長期に地方から大都市部に出てきた人が多いが、相続人となるその子供たちの中には、親の出身地に残された相続対象の土地を一度も訪れたことがないという人もいる。親が出身地に土地を所有していたことすら知らないケースさえある

こうした都市住民の場合、親の故郷の土地を利用する予定のない人も多数に上る。買い手が簡単に見つからないとなると、「面倒な手続きをしてまで相続し、固定資産税を納めてまで取得するメリットが見出せない」という気持ちが広がる。登記手続きの煩雑さや管理にかかる負担が、資産価値に釣り合わなくなってきているのだ。

 

日本の場合、不動産登記が義務化されていないため、登記にともなう労力やコストを嫌って故人名義のまま放置することとなる。ウソのような話だが、登記簿上の所有者の住所が「満州国」となっている極端な例まで見つかったという。

こうした土地が長期間にわたって放置されると、相続人がねずみ算式に増えて、さらに問題を複雑化させる。

人口減少に伴う土地需要の低迷は、すでに空き家の増大として大都市部を含む全国的な課題となっている。総務省の「住宅・土地統計調査」(2013年)によれば、全国の空き家は約820万件に上る。

野村総合研究所の試算(2016年)では、2033年の空き家数は2167万戸弱、空き家率は30.4%まで上昇する。全国の約3戸に1戸が空き家になる計算だ。利活用が見込まれない空き家は、やがて取り壊されて空き地となり、さらに不明土地の増大につながっていく。

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すでに九州の面積を上回る

もともと家が建っていなかったところも含め、所有者不明の土地が広がっている。

法務省が全国10ヵ所(調査対象数約10万筆)の相続登記未了の可能性がある土地を調査したところ、最後の登記から50年以上経過している土地が、中小都市や中山間地域で26.6%、大都市でも6.6%あった。最後の登記から90年以上経過している土地は、大都市以外で7.0%、大都市には0.4%存在した。

一方、国土交通省が地籍調査(2016年度)を実施した1130地区の約62万筆を調査したところ、20.1%が所有者不明土地であった。

「所有者不明土地問題研究会」(顧問・加藤勝信厚生労働相)がこれらのデータを元に、一定の条件下で相続登記されなかったり、所有者の住所が変わって連絡がとれなくなったりした土地を推計したところ、所有者不明と考えられる土地面積は全国で約410万haに及ぶという。これは九州本島(約367万ha)を上回る面積である。

日本社会が「大死亡時代」を迎えるため、所有者不明土地はさらに増えると見込まれる。