ビジネスマンはどう生きるか(photo by iStock)

自分は自己表現がうまくできている、と思いこんでいる人へ

自己表現力チェックテスト・前編
1995年の刊行以来、23年間で16刷と版を重ねている『自分をどう表現するか―パフォーマンス学入門』。大学や社員教育用のテキストとして使われ、高校や大学の入試問題にも毎年使われている。自己表現がうまいビジネスマンこそが現代を制する――さあ、あなたも自己表現テストに挑戦しましょう!

まずは現状把握

昔、「クリープを入れないコーヒーなんて」という名文句が一世風靡しました。それで言うなら、今は「AIのない社会なんて」となります。

将棋で藤井聡太さんの練習相手をポナンザがつとめ、ワトソン君がジェネラルドクターよりも正確に病名を当てる。災害でブロック塀がこわれて人間が手をこまねくところを「GoganGo」君がすいすい調査する。学校に行けない子供の代わりに教室で勉強に参加しているのは「OriHime」ちゃんです。

未来学者のアーウィン・トフラーが「第三の波」でさっそうと世界を巻き込んで情報化社会を予言したのが1980年。あれからたった38年しかたっていない。

工学博士で未来学者でもあるレイ・カーツワイルが『シンギュラリテイは近い』で巨大な知のストレージを持つAI社会を予言したのが2005年。そこからはたった13年しかたっていない!

なのにこちらは情報革命どころの比ではない。人間の可能性がAIによってどんどん伸びて生物的限界をこえていく、場合によっては最近野村総合研究所などが発表したように、人間の仕事の49%がAIにとって代わられてしまうかもしれない。

上手にITを使いこなし、AIを使いこなす人が現代の成功者になる――「はい、その通り」と認めましょう。不便より便利がいいに決まっているし、効率よく仕事ができるに越したことはない。

 

PC上手は自己表現が下手

でも、そこで「ちょっと待って!」と、生身の人間の自己表現研究ひとすじ、いつの間にかパフォーマンス心理学のパイオニアと呼ばれるようになった私はここで反論を呈したいのです。

PC上手は、生身の人間としての自己表現が下手です。それゆえ、対人関係で損をし、その結果、ビジネスにも影響がでている。もちろん友人づくりや恋人づくりにも損をしています。

この数年間、私へのIT企業からの講演依頼や研修依頼が増えているのが何よりの証拠です。ニーズのないところにオーダーはないのですから。

なぜ下手なのか? PC自身はまず反応を返してくれない。「君その文章わかりにくいよ」なんて言うもんですか。まして「ちょっとその顔で言われてもねぇ……」などとは言えっこない。あなたの顔が見えないからです。

ちなみに「パフォーマンス(performance)」という単語は、日常社会における意図を伴う人間の自己表現をさします。

そこで重要なのが、言葉による表現(言語表現)と、それ以上に重要な言葉以外の表現(非言語表現)です。なのに、PC上では言葉も舌足らず、ときには「イイネ」ぐらいで事が済む。相手が誤解するかも……などと深く考えて単語を選ぼうとしない。言語表現の不足。

(仏頂面して叩いていても(photo by iStock)

さらに、仏頂面してキーボードを叩いていても相手は見えない。よって、顔がつい無表情になる。一日の大半をPC相手に過ごせば、表情筋は動かずじまいという日もあり得ます。これが困るのです。