まもなく「サラリーマン絶滅社会」を迎えることに気づいてますか

では、生き残るにはどうすれば…?
三戸 政和 プロフィール

決して誇張ではない

大量生産大量消費社会が終焉に向かっているいま、日本の大企業は、今すぐ新卒一括採用をやめたほうがいいのです。新卒採用で同期1000人といったビジネスモデルは、もう破綻しています。

数ヶ月単位で世界のビジネスモデルが変化していくような時代に、3年かけて悠長に人を育てていく企業は、ついていけません。人手が欲しいのであれば、中国や東南アジアやインドなどから優秀な人を採用した方が手っ取り早い。

新卒は戦力になるまでに、つまり「投資を回収するまで」に時間がかかりすぎる。一方で、日本においても転職市場が成熟してきたことで、「一から人を育てるなら、優秀な人材を転職市場から獲得しよう」と考える企業が増えるのは必然です。

人件費や研究開発費は、「将来うまれるであろう利益の先食い」ですから、企業としても「新人」に投資する意味が薄れていきます。Yahoo! JAPANは昨年から新卒一括採用を廃止し、通年の経験者採用に切り替えました。賢明な判断です。

 

いや、とはいえ、「サラリーマンというビジネスモデルが破綻する」というのは誇張表現ではないか。生涯雇用は破綻して転職が当たり前の世の中になったとしても、仕事をするのはあくまで社員。サラリーマンには変わりないだろうという意見があるでしょう。

しかし、それすら変わってきているのが現実です。世界では、様々な革新的なプロジェクトが「プロジェクトベースで集められたプロフェッショナル集団」によって行われる時代になってきています。

そのプロジェクトが重要で革新的であればあるほど、大企業やあるいは資本家は、お金とインフラのみを用意し、社員ではなく、フリーランスやベンチャー組織など、その目的を達成できる能力のある人に声をかけ、特命のプロジェクトチームによってその事業を進めていく――そういう世界になってきているのです。

車を例にあげましょう。従来の新型自動車の開発は、社員の中でも特別なメンバーだけが集められ、社外の人は決して入れないような場所で秘密裏に行われていました。デザイナーもエンジニアも、社員にならないと参加できません。秘密裏にことを進めるため、新型車の企画から発表まで6年ほどかかる……という世界です。

車の作り方に訪れた変化

しかし今、世界のEV(電気自動車)ベンチャーはまるで違った方法で車の開発を進めます。世界にはテスラ社をはじめ無数のEVベンチャーがありますが、フリーランスがプロジェクトチームを組んで、大企業からお金を募って開発を行うのが当たり前になりつつあります。

世界各国のオフィスから参加する彼らは、クラウド上の3DCADシステムを使ってリモートに開発を行うので、同じ場所にすらいない。オンラインで繋がれた3Dプリンターによって試作品の作成すらもリモートでできます。組織の中でしか完結できなかった仕事が、いまはネットで優秀なメンバーを集めることで実行可能になっているのです。

【PHOTO】iStock

今後、新型の自動車開発やベンチャー企業だけではなく、ごく当たり前の仕事でも、このような「クラウド型の仕事」によるプロジェクトが広まっていくことは間違いありません。ひとつの製品を作るうえで、それを企画する人が、クラウド上で、デザイナー、エンジニア、営業マン、経理を集めて、最適なものを作っていく。その後、また別の製品を作るときには、狙いにあったものを作れる人材をクラウド上で集めていく――。

ソフトバンクの孫正義氏が40億ドルを投じたことで話題になった、「WeWork」という米ベンチャー企業があります。これは、起業家向けのコワーキングスペース(共同作業所)を提供するサービスですが、これを利用して、オフィスを持たずに働く「集団」が急激に増えています。会社に所属するのではなく、自分たちで組織を作って、メンバーを増やしていく。

彼らが大企業に「新しいプロダクト/サービス」を提案することもあれば、反対に、大企業が組織内の社員にではなく、彼らのような「集団」に大きな案件を発注していく……そんな生き方、働き方が主流になる時代が来るのです。これは、まさに冒頭でみた「ポップアップレストラン」と同じ発想です。いわば、これからの社会では「ビジネスのポップアップ化」が進んでいくのです。

こうしたやり方が一般的になっていけば、もはや会社の「兵隊」たちは必要なくなっていきます。つまり、軍隊型の生産組織から、遊軍的な生産組織へと「生産の常識」が根底から変わっていくなかで、「組織型サラリーマン」は、日々日々必要な存在ではなくなっていくのです。

だから私は、「サラリーマンは消滅する」と予見するわけです。

実はこのことに気づいているかどうか……つまり、「サラリーマンは絶滅危惧種」であり、生き残る方法を考えなければならない、ということに気づくかどうかで、あなたの働き方、そして生き方は随分と変わっていくはずです。

今日も明日も上司の言うがまま、まさに兵隊的な働き方をしていては、10年後、いや5年後にいきなり「ご苦労さん、もう君の闘いは終わったよ」と会社に見放されることは、十分に起こりうることなのです。

会社を今すぐ辞めろ、というわけではありません。まずは自分が「絶滅危惧種」に属しているかもしれないことを意識し、自分の働き方を、そして生き方を見直すことが必要なのです。

一刻も早く「脱サラリーマン思考」を手に入れること。それが、これからの時代を生き延びるためには必要なのです。

では、次回以降で「脱サラリーマン思考」を手に入れるための具体的な方法についてお話していきましょう。

(構成/嶺竜一。三戸政和氏のツイッターアカウントは https://twitter.com/310jpn