まもなく「サラリーマン絶滅社会」を迎えることに気づいてますか

では、生き残るにはどうすれば…?
三戸 政和 プロフィール

「そこそこできる」が一番よかった

洗脳するためにはもちろん、純真無垢な方がいい。だから新卒を採用します。猜疑心や余計な知識がなければ、催眠術にかかってくれやすいし、集団催眠がかかったまま集団の中にいつづければ、洗脳を疑うこともない。どんなに理不尽でも、ブラックでも、それしか知らなければ疑問を持ちにくい……。だから日本の大企業はあえて、非合理的としか思えない新卒大量一括採用をしてきたのです。

かつての日本企業はそれでよかったのです。少品種大量生産をしている場合には、大量に人を雇っても、工程や、役割を細分化して、一部の仕事だけを覚えさせて、黙々と同じ仕事を繰り返させておけばよかったからです。そうやって日本の産業は高度に仕組み化されていきました。

とはいえ、人間は面白くもない仕事を延々としていると、飽きてくる生き物です。すると次第にモチベーションが下がり、会社を批判したり、隠れて悪さをしたりする人も出てきます。それを防ぐために、3年ほどで職場を変えさせます。ジョブローテーションです。そうして、広く浅く、「なんでも、そこそこ」できる便利な社員が純粋培養されます。

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それで、日本のサラリーマンは幸せだったのです。同じ社風を共有する社員同士、皆で一丸となって事業をし、ライバルと戦い、叱咤激励し合い、酒を飲んで適度なガス抜きをし、社内恋愛や紹介お見合いで親戚となり、家族ぐるみの付き合いをする。

定年まで忠実に働く代わりに、首を切られることはなく、給料は一律にある程度まで上がり、60歳まで勤め上げれば数千万円の慰労金がもらえる。さらに、老後まで企業年金で面倒を見てくれる。サラリーマン万歳です。転職なんてもったいなくてできるわけがない。

 

欧米式が日本式を駆逐する

しかし、そんな特殊な会社の仕組みが出来上がったのは日本ぐらいでした。

欧米の大手企業は、飛び抜けて優秀なプログラマーでもない限り、新卒を採用したがりません。知識もビジネススキルもなく、マナーも知らず、手がかかり、2、3年も経たないとマトモに利益を上げてくれない若者を、大量に採用することはありえません。

GoogleやApple、Facebookなど人気企業は、能力が高く、知識と経験を積んだ、即戦力人材を採用します。テクノロジーの先端で競争していますから、何もできない新人を育てる暇などないからです。

それらの人気企業で働くことを志す若者は、まずは自分を採用してくれる企業(中堅、ベンチャー、大手の子会社など)に低い給料で就職し、下働きをしながら経験とスキルを積み、MBAや情報系の資格を取るなどして自分の市場価値を高め、人気企業に自分をプレゼンして転職するのです。そうして転職しながら自分の給料を上げていきます。

日本の新卒一括採用に始まる「生涯サラリーマン」制度は、もはや化石のようなもの。世界のどこにもありません。企業側にメリットがないからです。

大量生産大量消費社会ははるか昔に終焉し、少量多品種生産になって久しい。多様化する価値観に合わせて次々に新しい商品やサービスを生み出していかなければならない時に、同じ会社で同じように育てられ、同じ知識と経験しかもたない画一的なサラリーマンなど、もはや使いようがないし、不要なのです。