まもなく「サラリーマン絶滅社会」を迎えることに気づいてますか

では、生き残るにはどうすれば…?
三戸 政和 プロフィール

なぜ日本企業には「社風」があるのか

日本企業には、それぞれに、“社風”があります。

同じ産業であっても、トヨタと日産とホンダ、パナソニックとソニー、三菱商事と三井物産と伊藤忠商事、電通と博報堂、野村證券と大和證券、それぞれに異なる社風があって、みんなその社風を大切にしています。そして、それぞれの社員がライバル企業の社風を、“うちとは違う”と思っている。

さて、皆さんは疑問に思ったことはないでしょうか。なぜ日本企業には、それぞれの社風があるのか、と。海外には、日本企業のように色濃い社風は存在しません(もちろんグーグルやフェイスブックにも独特の企業カルチャーはありますが、それは日本の伝統的な「社風」とは違うものであることは、お分かりいただけるでしょう)。

なぜ、日本には社風が必要だったのか。それにはちゃんと理由があります。

第二次世界大戦で日本中が焼け野原となり、戦後の日本経済はどん底からスタートしました。今でも品質と技術では世界一を誇るものが多いメイド・イン・ジャパンですが、戦後しばらく日本製は「粗悪品」の代名詞でした。

しかし朝鮮特需を経て奇跡的な復興を遂げたこの国は、戦後10年ほどで高度経済成長期に入り、その後1990年台前半まで成長拡大を続けました。企業は利益を再投資して生産規模を拡大し続けたのです。その中で、大企業はより大きくなっていきました。

 

少品種大量生産には兵隊が必要

人々は大量にモノを消費し、企業は大量にモノを生産する。消費意欲が強いため、同じものを大量に作っても作るだけ売れる。少品種大量生産の時代が長く続きました。

そうした時に必要だった人材が、会社に対して愛と忠誠心を持ち、“社風”に染まり、画一的に決められたサラリー(給料)で、入社から定年まで一心不乱に働いてくれるモーレツ社員……すなわち「生涯サラリーマン」でした。

同じものを大量に生産しているプロセスでは、なにせ人手が必要になります。経営者にとってみれば、全員が定時に出社して一斉に仕事をし、風邪ぐらいでは決して休まず、仕事が終わらなければ自主的に残業してくれる社員は、とてもありがたい存在です。

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そんな兵隊ばかりを、とにかくたくさん揃えておきたい……そのために必要だったのが、社風だったのです。

“社風”とは、サラリーマンに仲間意識と会社愛を育て、なんだかんだと愚痴を言っても結局は会社に縛り付けて一生懸命働き続けてくれるように洗脳するための、集団催眠のようなものなのです。