テレビファンはいつから『27時間テレビ』に期待しなくなったのか

「楽しみだね」と話していた頃もあった
ラリー遠田 プロフィール

テレビ事件史に刻まれたあの回

第1回放送の総合司会は明石家さんまとタモリ。深夜にはフライデー襲撃事件で謹慎していたビートたけしが復帰して、2人とトークを繰り広げる一幕もあった。80年代のテレビバラエティシーンを席巻したこの3人が、その後も『FNS27時間テレビ』の歴史を支えていくことになる。

テレビのお笑い番組を熱心に見ていた私のような人間にとって、『FNS27時間テレビ』は「年に一度の夏祭り」そのものだった。売れっ子芸人たちが一堂に会して特別な企画に挑む。そこでは生放送ならではのハプニングが起こることもある。最初から最後まで何が飛び出すか分からない魅力があった。

たけしがさんまの愛車を破壊する一連の企画には腹を抱えて笑った。1995年には感動的なマラソン企画そっちのけで、スタジオの片隅で食事をしていた東野幸治が笑福亭鶴瓶にたしなめられて「どうでもええんじゃ!」と絶叫する一幕があった。

 

2003年には深夜の中継企画で泥酔した鶴瓶が局部を露出する事件を起こした。いずれもテレビお笑い史の1ページに刻まれる大事件である。フジテレビが「テレビの笑い」を牽引していた時代には、『FNS27時間テレビ』がその象徴的な存在として光り輝いていた。

だが、近年、その不敗神話にも陰りが見えてきた。2011年、フジテレビは7年続いていた視聴率三冠王を逃し、王座から陥落した。この年には東日本大震災とフジテレビデモが起こっている。

東日本大震災はマスコミやエンタメ業界全体に大きな影響を与えた。震災や原発事故に関する報道がきっかけで世間のマスコミへの不信感が高まっている中で、いつまでも浮世離れした馬鹿騒ぎを続けているフジテレビに厳しい目が向けられるようになった。「韓流びいき」が理由だとして引き起こされたフジテレビへの大規模なデモ行動も、その流れの中にある。

その後、フジテレビは浮上のきっかけをつかめないまま、先の見えない低迷期に入った。現在、年間視聴率(2017年の全日、ゴールデン、プライム)では日本テレビ、テレビ朝日、TBSに追い抜かれ、民放4位に甘んじている。