テレビファンはいつから『27時間テレビ』に期待しなくなったのか

「楽しみだね」と話していた頃もあった

『27時間テレビ』、関心ありますか?

「今日の『27時間テレビ』楽しみだね」

お笑い好きの友人とそんな話をした記憶がある。2008年だからもう10年も前のことだ。

その年の『FNS27時間テレビ』(フジテレビ系)の総合司会は明石家さんま。何年かに一度のお笑い色の強い回だった。『オレたちひょうきん族』のディレクターだった三宅恵介が定年退職の前に「もう一度だけさんまさんと番組をやりたい」と申し出たことで実現した。

明石家さんまは27時間のオンエア中、ほぼ全編に渡って出ずっぱりとなり、息も切らさずしゃべり続けた。超人的な体力を誇る彼がこれまでに成し遂げてきたことの中でも、上位に入るほどの過酷な仕事だったに違いない。

笑いに特化した番組をこれだけの尺で、これだけの規模で、たった1人の芸人を軸にしてやり通すというのは前代未聞のことだった。当時、自分を含むお笑い好きの人たちは、そんな『FNS27時間テレビ』を一種のイベントとして待ち望んでいた。

今年の『FNS27時間テレビ』は9月8・9日に放送される。この放送をそのように待ちわびている人は日本全国にどのくらいいるだろう。率直に言って、あの頃よりも少ないだろう。そもそも『27時間テレビ』が放送されるということ自体に関心のない人がほとんどではないだろうか。

 

かつての『FNS27時間テレビ』は、最も勢いのあるテレビ局であるフジテレビが、その有り余るパワーを見せつけるような、圧倒的な存在感を持った特番だった。フジテレビが系列局と一体になって取り組む特番には「FNS(フジネットワーク)」という枕詞が付けられる。その代表が『FNS27時間テレビ』(初期のタイトルは『FNSテレビ夢列島』)だった。

1987年に始まったこの番組は、もともと日本テレビの『24時間テレビ 愛は地球を救う』のパロディ企画だった。『24時間テレビ』が恵まれない人のための募金を募るチャリティー番組であるのに対して、『27時間テレビ』には一切の大義名分がなかった。丸一日をかけて社会の役に立たないお笑いだけを見せる、というのがコンセプトだった。

社会的正当性のあるチャリティー番組を作る日本テレビに対して、ただバカバカしいだけのお笑い番組をやりきるフジテレビが当時は先鋭的に見えた。まさに「楽しくなければテレビじゃない」という思想が体現されていた。