最新調査で判明、インターネットはこうして社会を「分断」する

炎上商法の果て、穏健派は消えていく
辻 大介 プロフィール

単にネットの中だけで過激な言辞をまき散らすだけではない。よく知られているように、街頭などのリアル空間でヘイトデモを行なうことによって、動員力と注目度を高めていった。このやり口は、2つの意味で効果的だった。

ひとつは、ネット右翼たちに盛大な「オフ会」の場を与えたことだ。ニヤニヤ、ヘラヘラと笑いながら練り歩く者たちの姿は、それが彼らにとって、自らの主張を世間に示威する行動という以上に、オフラインで仲間と集い楽しむ「祭り」であることを物語っている。

 

もうひとつは、ネットで拡散する効果的な映像コンテンツを得ることだ。私が初めて彼らのヘイトデモを目にしたのは、街頭ではなく、動画サイトだった。大きなショックを受けた。その醜悪さによるのはもちろんだが、それに加えて、まさか、「氏ね」の罵倒と「www」の嘲笑が飛びかう2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)が、そのままリアルな公共空間に姿を現すとは、という衝撃があった。

このインパクトを利用し、在特会はネット上で自らの存在と主張を広く認知させていく。むろん認知させたからといって、追い風ばかりが強まるわけではない。それに応じてカウンター側の活動も高まり、2016年には国会でヘイトスピーチ解消法が制定されるに至る。

ヘイトスピーチを撒き散らすデモと、そのカウンターデモが繰り広げられる(photo by gettyimages)

では、彼らの運動は失敗だったのか。私はそう思わない。在日特権などというフェイクニュースが、これほどよく知られるようになったのは、運動の「成果」と言わざるをえまい。その意味で、在特会は世論喚起の炎上商法における最大の成功例のように思えるのだ。

ネットを目にする人に与える影響

ここで気になるのは、その成功が、主張を広く知らしめることにとどまるのか、支持者を増やす(つまり、主張を信じさせる)ことにまで及ぶのか、という点だ。

いや、そろそろ在特会の話を離れて、もう少し論点を広げよう。

ヘイト系のニュースや情報が、たとえデマであれ、拡散されやすくPVを稼ぎやすいことは、一部ではよく知られている。たとえば、こちらの記事(「「ヘイト記事は拡散する」嫌韓デマサイト、運営者が語った手法」)や、こちらの記事(「右派系まとめサイトの管理人に「目的」を直撃してみた」)をお読みいただけばよい。

これらの炎上商法的な手口は、金銭目的であって必ずしも世論喚起を狙ったものではないが、すでに確立した「ビジネスモデル」にもなっているわけだ。

マスメディアからネットへの移行が加速度的に進みつつある現在、ネット上にあふれるこうした有象無象の排外主義的な言説が、人びとの目に入る機会も増えていよう。はたして、それが人びとの意識に何ら影響を与えないなどということがあろうか。現況下におけるネット利用は、人びとの排外意識を強めるような作用を及ぼしているのではないか。