ゲノム解析でわかった我々と絶滅人類との深い関係

7万年前、地上には5種類の人類がいた
更科 功 プロフィール

7万年前に生きていた5種の人類

およそ4万年前にネアンデルタール人が絶滅して、地球上の人類は、私たちヒト(学名はホモ・サピエンス)だけになってしまった。しかし、昔はたくさんの人類がいたのだ。仮に7万年前の地球を考えると、そこには少なくとも4種の人類がいた。ヒトネアンデルタール人と、インドネシアのフローレス島で化石が見つかったフローレス原人と、シベリアで化石が見つかったデニソワ人だ。

ネアンデルタール人ヒトが交配していた事実が、両者のゲノムから明らかにされたのは2010年だった。当時としては衝撃的な結果だった。

しかし、人類というものは、いろいろな種と比較的自由に交配するものらしい。デニソワ人ヒトと交配したらしく、アジアからオセアニアに住んでいる現生人類(ヒト)のゲノムの数パーセントは、デニソワ人に由来するものである。特にニューギニアに住んでいる人ではその割合が高く、ゲノム全体の約5パーセントにも達する。

ところで、シベリアで化石が発見されたデニソワ人と、ニューギニア人にDNAを残したデニソワ人は、両方デニソワ人と呼ばれているけれど、遺伝的にはかなり異なる。別種にするかどうかは微妙だが、著者のライクは、前者を「デニソワ人」、後者を「アウストラロデニソワ人」(「アウストラロ」は「南の」という意味)と呼んで、一応区別している。

 5種類の人類 

  • ヒト
  • ネアンデルタール人
  • フローレス原人
  • デニソワ人
  • アウストラロデニソワ人

もちろん大昔は、ヒトネアンデルタール人デニソワ人アウストラロデニソワ人は、まだ分かれていなくて同じ種だった。

ゲノムデータからの推定では、この4種の中で最初に分かれたのがヒトで、およそ77~55万年前とされる。次にネアンデルタール人が残りの2種から、約47~38万年前に分かれた。そして最後に、デニソワ人アウストラロデニソワ人が分かれたのが、約40~27万年前と推定されている。ちなみに、フローレス原人からはDNAが抽出されていないので、分岐年代の推定はできない。

【図】旧人類の系統
  ヒト、ネアンデルタール人、デニソワ人、アウストラロデニソワ人の人類の分岐年代