# 通信

携帯料金値下げ、どう進める…?菅官房長官の「秘策」を読む

強制的な値下げも選択肢の一つか

なんでこの時期に……?

菅義偉官房長官が先々週火曜日(8月21日)、日本の携帯電話料金について「4割程度下げる余地はある」と口火を切って以来、執拗に引き下げを迫る発言を繰り返しており、大きな反響を呼んでいる。確かに、家計支出に占める携帯料金の比率は上がる一方で、われわれ消費者にとっては重い負担だ。菅発言に期待する読者も多いのではないだろうか。

しかし、携帯料金の引き下げを実現する力が政府にあるのだろうか。安倍晋三総理がほぼ3年前に「携帯料金などの家計負担軽減は大きな課題である」と宣言、当時の高市早苗総務大臣に早急な対応を指示したが、消費者の多くに携帯料金が大きく下がったという実感はないはずだ。

携帯料金の引き下げを巡って、政府・総務省と携帯電話会社の間に、これまでに一体どういう闘いがあったのか。今度こそ、敗北の歴史に終止符を打つ隠し玉を政府は持っているのか。そもそも、なぜ、この時期に菅長官が携帯料金の引き下げに意欲を示したのかも含めて、先行きを展望してみよう。

 

まず、菅長官の発言を整理しておこう。

最初の発言は、札幌市内の講演で飛び出したもので、携帯の利用料が「あまりにも不透明で、他国と比較して高すぎるのではという懸念がある。4割程度下げる余地はあると思っている」という内容だった。あわせて、「(携帯電話事業者は)国民の財産である公共の電波を提供されて事業している」と指摘。利益率が他の業種と比べて高いことから、「競争が働いていないといわざるを得ない」と切り捨てたのだ。

次が、先週月曜日( 8月27日)午前の記者会見だ。「(日本の通信料は)OECD(経済協力開発機構)加盟国平均の2倍程度と報告を受けた。今よりも競争すれば引き下げ余地があるのではないか」と、最初の発言の根拠を示す形だった。

さらに、先週木曜日( 8月30日)の記者会見では、携帯電話に関連する手続きにも言及、「『時間がかかりすぎる』という国民の皆様の声も多く頂いている。こうしたことも検討すべきだ」と発言した。

一連の菅長官の発言は、携帯料金引き下げに賭ける同長官の強い執念を感じさせるに十分である。

では、日本の携帯電話料金は本当に高いのだろうか。

携帯電話の料金負担が消費者にとって重い負担であることは事実だろう。そのことをはっきりと裏付けているのは、2017年版の情報通信白書である。それによると、2016年の1世帯当たりの電話通信料支出は前年比2.3%増の12万392円に達した。

また、世帯支出全体に占める割合が4%の大台を突破した(前年比0.17ポイント増の4.14%)のである。その内訳をみても、固定電話への支払いは年々減っているのに、携帯電話への支出は膨張を続けており、2010年の7万9918円から2016年には9万6306円に膨らんだ。“ケータイ支出10万円時代”がすぐそこに迫っている。

他の携帯先進国と比べると、「日本の携帯料金が安い」とは決して言えない状況も浮き彫りになる。総務省が昨年7月に公表した「電気通信サービスに係る内外価格差調査」(通話時間を月70分、メール利用本数を月148通、使用データ通信料を月2、5、20ギガバイトの3パターンと仮定したモデル調査)をみても、東京、ニューヨーク、ロンドン、パリ、デュッセルドルフ、ソウルの6都市のうち、東京は20ギガバイトで2位、2ギガバイトで3位、5ギガバイトで4位、とそろって中位以上の高さを記録しているのだ。

国際的に見て決して安くなく、その支出が家計の重い負担になっているのだから、携帯料金の引き下げを求める菅長官の発言は的外れとは言えず、多くの注目が集まるのは自然なことだろう。

とはいえ、菅長官はなぜ、今、携帯の料金問題をやり玉にあげたのだろうか。

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