夏は人口7.5倍のリゾート地が「再生可能エネルギー100%島」に

ギリシャ、ティロス島の大改革
イリアナ・ミアー

停電に苦しむ離島だったが…

ティロス島には現在、コス島からニシロス島、そしてティロス島へと走る海底送電ケーブルによって電力が送られている。この送電ケーブルのせいで、電力供給は不安定で、停電が起こりやすい。

そのため、電気製品は日常的に故障し、多くの事業所はディーゼル発電機に頼らざるを得ない状況だ。

ヨーロッパ本土からフェリーで14時間かかるティロス島は、ミコノス島やサントリーニ島のような派手さはないが、年間1万3000人が訪れる静かなリゾート地だ。緑豊かな島として知られていて、ハイキングやバードウォッチングの愛好者の間で人気がある。現在は島の大部分が自然保護区になっている。

ティロス島のマリア・カーマ市長 は、グリーンエネルギーシステムはこの島にとって自然な次のステップであると考えている。

「長年ティロス島は、環境保護に力を注ぐ方針をとってきた。私たちがこの島で求めているのは、環境を尊重して守りたい、与えられたままの自然を守りたいという思いを持って来てくれる観光客だ」(カーマ市長)

観光業はこの島の主な収入源だ。しかし商売を営む人々は長時間の停電に苦しめられてきた。

停電が起こると、ホテルは空調を入れられなかった。レストランでは照明も電力もなくなり、温度の上がってしまった冷蔵庫の食品を廃棄しなければならなかった。

 

「みんな喜んでいるよ」

ホテルを所有するセバスティ・デラポルタ氏は、2年前の発足以来、このプロジェクトにずっと注目してきた。

ティロス島住民の間には当初、この構想への疑問があったが、テストはこの夏のピーク時間にも順調に進んだ。

電力網は数カ月以内に本格的に稼働する予定だ。

デラポルタ氏は「私はこのプロジェクトについて、とても楽観的に考えている。商売にとっても、私が経営しているホテルのゲストにも、マイナスの影響はほとんどないからだ」と語る。

「人々はこの電力サービスを歓迎している。自分の冷蔵庫に問題は起こらないし、エアコンにも問題はない。みんな喜んでいるよ」

ティロス島に設置された風車ティロス島に設置された風車 Photo by iStock

夏には晴天日が何日も続き、平均気温が33度に達するこの島で、観光客たちは午前中をビーチで過ごし、午後は昼寝をする。島が活気づくのは夕方からだ。

この時間帯になると店などが営業を始め、住民も観光客もこぞってバーやカフェに押しかける。

エヴァ・レマイア 氏は20年以上、毎年この島を訪れている。環境基準が世界で最も厳しい国の1つであるオランダから来ているレマイア氏は、ティロス島の環境政策はギリシャで際立っていると語る。

「再生エネルギーによって、ティロス島の人々が現在取り組んでいることについても誇らしく思う。この島が他の島に依存しないのはよいことだ」(レマイア氏)

(アメリカ・ニューヨーク発AP 翻訳/熊谷玲美)

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