ローマ帝国の栄枯盛衰に「日本の退化」を止めるヒントがある。

第23回ゲスト:黒鉄ヒロシさん(後編)
大人の遊びを知り尽くした伝説の編集者・島地勝彦が、ゲストとともに“男の遊び”について語り合う「遊戯三昧」。最終回となる今回は、ご存じ漫画家の黒鉄ヒロシさんをお招きし、連想飛躍の限りを尽くして「日本人の心」について語っていただいた――。バックナンバーはコチラから

⇒前編はコチラ【日本人が知らない日本人の善行は、こんなにあります】

現代の指導者は独善的なだけ

島地: 前回はサッカーから始まり、善行の背景にある日本人の独自性、その危機的なお話になりましたが、今回はさて、どういう方向で進めましょうか。その前に、シガーをもう一本失礼しますよ。

黒鉄: どうぞ、どうぞ。なんの縛りもなく、極めてゆるっと始まるところが島地さんらしくていいですね。

日野: まとめるほうはけっこう大変なんですが…。

島地: 落としどころが決まってる対談なんて、つまらないでしょう。せっかく黒鉄さんがゲストなんですから、いろんな方向からつついてみたいですね。最近は歴史にまつわる著書が多いですが、今、興味のあるのはどのあたりですか。

黒鉄: その前に、歴史を語るとそれぞれの時代、国や地域の指導者を語ることにもなりますが、現代の指導者はどこを見ても惨憺たる有り様ですね。一国の指導者ともなれば、凄味、狂気があるもので、それが人間的な魅力にもなる。ところが、今はただ独善的なだけで、実に薄っぺらい。アメリカもロシアも、残念ながら日本も。

島地: 黒鉄さんは「トランプは北朝鮮を空爆する」といってましたが、よく経緯のわからないまま米朝首脳会談が開催されましたね。

黒鉄: ええ。でも考えは変わりません。あれは、瞬間的に両者の思惑が一致しただけのことで、その後につながるような話はないに等しいでしょう。核廃棄にしても、具体的なロードマップもなければ期限もない。

トランプとしては、とりあえず首脳会談をやったことをエキスキューズとして、「やっぱり信用できないやつだった」と、どこかの時点で暴発するんじゃないでしょうか。

日本の独自性は恐怖ですらあった

島地: ロシアも日本も、お世辞にもすぐれた指導者とはいえず、独善的な言動だけが目に付く始末ですが、トランプはやはり群を抜いているというか。

黒鉄: 実際に武力行使に出るかどうかはわかりませんが、仮に出たとしても、それはトランプのアイデアではないでしょう。アメリカには、朝鮮半島の歴史を知っている人が激減しています。というか、そもそも興味がない。

島地: EUも自分たちのことで手一杯で、アジアには興味がなさそうですね。

黒鉄: でも、それは今に始まったことではなく、聖書を見ればむべなるかな、です。

日野: 聖書にそんなことが書いてあるんですか?

黒鉄: ノアの箱舟はみんな知ってると思いますが、そこに乗るのは白人、黒人、そしてユダヤ人で、黄色人種はいません。もともとは同じ人間として認識すらしていなかったはずです。

第二次世界大戦中、英米の指導者にとってアジア人は「よくわからない存在」で、その最たるものが日本人でした。日本人の特殊性は恐怖ですらあり、決して白人社会に感化できないと思ったため、あそこまでとことんやったのでしょう。

島地: 欧米に白人至上主義があるのは周知のことですが、そもそもの始まりが聖書にあったというのはおもしろい見方ですね。キリスト教というのは、ゾロアスター教を含めていろんな宗教のいいとこ取りで出来たものだと思います。

黒鉄: おっしゃる通り。その流れで話をさせていただくと、おもしろいのはローマ帝国ですね。ローマ帝国がなぜ、あれほど広大な領地を治めることができたのか。