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# アメリカ # トルコ # ドル

トルコショックと「FRBの値上げ」の複雑な関係

ドル高は進んでいるけれど

8月上旬、米ドル(ドル)は主要通貨に対して堅調に推移した。その主な要因となったのが、キリスト教福音派の米国人牧師の解放を巡って米国とトルコの関係が悪化したことだ。特に8月10日のトルコ・リラ急落は、ユーロ圏の大手金融機関の信用リスク上昇や南アフリカ・ランドなどの新興国通貨の連想売りにつながり、世界的にリスクオフが進んだ。

ドルの上昇は、新興国通貨やユーロ下落による部分が大きかったと考えられる。今後の展開を考えた時、ドルが堅調な展開をたどるか否かは慎重に考えるべきだろう。トランプ大統領の外交・通商面での強硬姿勢、米国債の空売りポジションの巻き戻しの影響などはドルの上値を抑える可能性がある。利上げがドルの上昇を支えると判断するのは早計だろう。

 

トルコショックを受けたドル高

8月のドルの主要通貨に対する動きを振り返ると、お盆まではドル高だった。この背景には、8月10日、トランプ政権による制裁発動などを受けてトルコ・リラがドルに対して急落したことがある。それが、経常赤字と対外債務を抱える新興国通貨の売り圧力につながった。また、大手金融機関が保有するトルコ向け債権焦げ付きへの懸念から、ユーロも売られた。

トルコは欧州と中東、ロシアに囲まれた地政学の要所でもある。米国がトルコを追い込みすぎると、NATO加盟国のトルコはロシアに接近して自国の安定を目指す可能性がある。それが現実となれば、他のNATO加盟国にも動揺が伝わるだろう。そうした見方も加わり、トルコ・リラの急落は世界的なリスクオフに波及した。

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リスクオフを受け、大手機関投資家は新興国関連のリスク削減を優先した。春先以降、米金利の上昇を受けてヘッジファンド等は新興国に投じていた資金をドルに還流させてきた。それは、新興国の通貨を売り、ドルを買うことに他ならない。トルコショックの発生は、この動きを加速させた。それが他の追随売りを呼び、新興国通貨の下落につながった。

8月上旬のドルの上昇は、トルコショックの波及リスクを受けやすい通貨の下落の裏返しということだろう。米国での利上げ予想を反映して先々のドルの上昇期待が高まり、ドルが主要通貨に対して上昇したとは言いづらい。8月、ドル/円の為替レートが概ね110円台半ばを挟んだレンジを形成したことは、それを確認する一つの材料といえるだろう。

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