ZOZOの敵がアマゾンではなく、「田舎のアウトレット」である理由

知られざるビジネスモデルの正体
鈴木 貴博 プロフィール

なぜ百貨店はZOZOを潰さなかったのか?

まずZOZOTOWNがどのようなビジネスモデルのサービスなのかを説明しましょう。

ZOZOTOWNはさまざまな大手アパレルメーカーの商品を倉庫で預かり、インターネット上のサイトで販売します。販売と並ぶZOZOTOWNのもうひとつの役割は商品ハンドリング(物流サービス)で、注文に応じて在庫をピックアップして宅配網に乗せます。

 

このビジネスモデルのポイントは百貨店と同じで、在庫は買い取らずにメーカーから預かるだけという点にあります。そのうえで売れた分だけ販売のマージンをもらいます。ZOZOTOWNの場合、百貨店と違う点は、インターネット上での販売に倉庫でのピックアップから配送までのハンドリングが加わることで百貨店よりも高い28%程度のマージンを受け取っているという点です。

このように在庫を持たず売り切った分だけの(しかもマージン率が高い)収入が収益源になっているため、ZOZOTOWNの利益率は非常に高いわけです。

こうして考えると、ZOZOTOWNの成功は、百貨店のビジネスモデルを参考に「お店で顧客に買ってもらい、自分で持ち帰ってもらう」という部分を「サイト上で顧客に買ってもらい、配送する」と置き換えたところです。

そしてそのビジネスモデルで販売しているインターネット小売店では大きな競合は存在しなかった。楽天市場に出店している多くのファッション小売店は、仕入れ先からお金を支払って在庫を仕入れて、楽天に出店料を支払って、楽天市場の中のたくさんの同業者と競争しながらファッション製品を販売していた。それをよそ目に、ZOZOTOWNは独自のビジネスモデルで独自サイトとして開業したわけです。

創業当初は仕入れ先のブランドは百貨店のようには多くは無く、ZOZOTOWNはインターネット上の地味なファッションセレクトショップという位置づけでした。しかしアパレル大手のユナイテッド・アローズがZOZOTOWNに商品を提供するようになったあたりから品ぞろえが広がり、やがて大手百貨店並のブランドラインナップが完成し、そこから躍進を始めるのです。

では百貨店がなぜZOZOTOWNに同質化をしかけて潰せなかったのか? 

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当時、百貨店にとってもインターネット通販は力を入れるべき重要な戦略領域でした。しかし百貨店は「百貨店型のインターネット通販モデル」の場合、一番重要なところは倉庫のハンドリングへの投資であるという点に気づいていなかった。だから物流ハンドリングを外注に依存してしまった。

言い換えるとZOZOTOWNを潰せるだけの高付加価値投資を倉庫物流まわりに投下する代わりに、物流コストを買いたたいてしまっていたわけです。

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