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「大金持ち」が絶対に「タンス預金」をやらない理由

ファンドマネジャーは知っている
藤野 英人 プロフィール

タンス預金43兆円というアホらしさ

そもそも私が日本の投信市場をもっと盛り上げようと頑張っているのは、個人の金融資産が現預金に偏っている今の状況を非常にもったいないと思っているからです。自宅の置いたままの現金、すなわち「タンス預金」ではお金が増えることはありませんし、マイナス金利政策のもと、銀行にお金を預けていてもやはりお金はほとんど増えません。 

 

実際、個人金融資産が現預金に偏っている日本では、その伸びが小さいことがわかっています。

たとえばアメリカでは、個人金融資産に占める現預金の比率は13%程度に過ぎず、株式や投信が約45%にのぼっています。そしてお金がきちんと社会で活用されている結果として、個人金融資産全体は過去20年で3倍以上に伸びているのです。

一方、日本では現預金が5割超、株式や投信が2割未満という状況です。過去20年間では、個人金融資産は1.5倍にしかなりませんでした。

なぜ、日本人はこれほど投資に消極的なのでしょうか?

私は、日本人はお金が大好きで、お金への思い入れがとても強いからではないかと思っています。

みなさんはどうでしょう。お金は好きですか?

「お金が好きだなんて、そんな……」と返答に詰まる人が多いかもしれませんが、日本人が「お金好き」だということはデータにも表れていて、2017年の第一生命経済研究所の推計によるとタンス預金はおよそ43兆円にものぼります。つまり、タンスやツボの中(最近は靴箱、冷蔵庫ということもあるそうです)などにしまいこんで手元に現金を置きたいという人がそれだけ多いわけです。

実際、関東地方で水害が起きたとき、ある金融機関が避難所に臨時のATMを設置したところ、たった1時間半ほどでATMがお金でいっぱいになってしまったといいます。「当面のお金を引き出せるように」と設置されたはずのATMでしたが、避難してきた人たちの多くがタンス預金をリュックなどに詰めて持ち出していて、それをいっせいに預けたため、引き出されるお金より預けられるお金のほうが多かったのです。

日本人のお金への思い入れを感じる場面はほかにもたくさんあります。たとえばボーナスの使いみちを尋ねるアンケートで、近年1位になるのはきまって「貯金」です。「今年の目標は?」という質問でも「貯金」という回答がトップになったりします。おそらく多くの人にとって、お金を貯めることは「正義」であり、それが人生の目標にもなっているのでしょう。

これほど日本人が「お金を貯める」ことを重視している背景には、もちろん老後に対する不安や「いざというときに備えたい」という気持ちもあると思いますし、将来に備えることが必要なのも確かです。しかし、「夢」や「やりたいこと」と紐付くことなく、ただただお金が貯まっていくのだとしたら、それはやっぱり残念なことだと思うのです。

そこでみなさんにお勧めしたいのが、一度お金を客観視してみることです。