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# 預金 # 投資信託

「大金持ち」が絶対に「タンス預金」をやらない理由

ファンドマネジャーは知っている

個人がじっくり資産形成するための手段があるのに…

資産運用会社レオス・キャピタルワークスで代表取締役社長兼最高投資責任者を務めている、ファンドマネジャーの藤野英人と申します。この連載では、私がそのときどきで気になった話題やニュースにも触れながら、お金の「未来」について考えていること、みなさんにも考えていただきたいことなどをお伝えしたいと思います。

 

ご存じない方のために少しご説明すると、レオスは独立系運用会社として個人の方向けに「ひふみ投信」「ひふみプラス」「ひふみ年金」という投資信託(投信)を提供しています。

投信というのは、多数の個人から小口で集めた資金をまとめ、運用の専門家であるファンドマネジャーが株式や債券など国内外のさまざまな資産に投資して、運用成果を投資額に応じて配分するという仕組みの金融商品。少額から幅広く分散して投資できるのがメリットで、個人がじっくり資産形成するのに向いているのですが、投信を活用している人はまだまだ少ないのが現状です。

日本銀行が発表している「資金循環統計」の最新のデータによれば、日本の個人金融資産1829兆円のうち、「現金・預金」が961兆円。実に5割以上が現預金に置かれている一方で、株式は199兆円、投信は73兆円。つまり、投信は個人金融資産のうち約4%しかないのです(2018年3月末時点)。

実は、日銀が発表するこの投信の残高について、最近ちょっとした騒ぎがありました。

日本の投信市場はここ数年、右肩上がりに伸びて「100兆円規模」と言われるまでになり、資産運用業界では「貯蓄から資産形成へ」の流れが着実に進んでいると評価されていました。実際、17年12月末時点の資金循環統計では、投信残高は109兆円とされていました。

ところがこの日銀の発表には推計のミスがあり、なんと30兆円も過大になっていたことが判明したのです。「100兆円規模」のはずの投信残高は計算し直したところ70兆円程度しかなく、しかもここ数年は伸び悩んでいたことも明らかになりました。

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この件はニュースなどでの扱いはあまり大きくありませんでしたが、日銀の発表がこれほど実態とかけ離れていたというのは、もっと深刻に受け止められるべきことではないかと思っています。

私は、日本の投信市場を盛り上げて資本市場に貢献したいという思いから、これまで「今の投信市場は100兆円規模。これを10年であと100兆円増やしたい。その中でレオスは運用残高10兆円を目指します!」と言い続けてきました。

ところが実際には日本の投信市場はまだ70兆円しかなかったわけですから、これからは思っていた以上に遠い道のりをまた一歩一歩進んでいかなくてはなりません。