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ネットのケンカで120人が乱闘!中国のヤンキー暴走「失笑事件簿」

これがサイバー先進国の実態だ

ダンス動画でシバキ合い

「てめえ、なにアタシのダンスの名前をパクってんだよ!」

「うるせえ、オレたちのほうが上手に踊ってバズれるぜ!ヒャッハー!」

などというやり取りがあったのだろうか。今年2月23日、広西チワン族自治区南寧市に住む未成年の少女・陸さんと、若い男性の黄さんはQQ(中国で人気のチャットソフト)のグループ上で口角泡を飛ばすような大ゲンカをおこない、これにQQグループに参加中の他のメンバーも加わって大騒ぎになった。

 

彼女らがこだわったのは、「社会揺(メイパイ・シェイク)」と呼ばれる、近年の中国の若者の間で人気のダンスである。これはヘヴィなEDM調の音楽に合わせて独特のダンスをおこなうもので、ショートムービー投稿アプリの「美拍(メイパイ)」の名が付いていることからもわかるように、そのダンスの様子をネットのSNSなどでシェアすることが人気となっている。

陸さんが名付けたダンス名を冠して、黄さんと仲間たちが市内のディスコで踊り、そのダンス動画をSNS上に投稿した行為が、両者のケンカの直接の原因であった。

(※Youtubeで見つかる「社会揺」の実例。踊り手がかわいい女の子やイケメンの場合は「バズり」やすい模様だ。)

中国において社会揺の流行を担っているのは、いわゆるヤンキー的な社会階層の若者たちが少なくない。ただし、彼らは昨今の中国の流行を反映して全員がスマホを持ち、SNSのコミュニティにおける人間関係を重視し、ネット上でチヤホヤされることを好む。

ゆえに、自分たちのダンス名をパクられたと主張する陸さん一派の怒りは激しいものがあった。いっぽう、黄さん一派も逆ギレ的に激しく口撃。当事者の陸さんと黄さんに面識はなかったようだが、血の気の多い若者たちのぶつかり合いはヴァーチャル空間での争いだけでは終わらない。彼らは改めて決闘の期日を約し、双方のダンスグループを動員した肉体言語によって決着を付けることにしたのだった。

「パクリ野郎をやっちまえ!」

双方が激突したのは2月25日深夜、南寧市江南区五一路の付近である。パクリを指摘された黄さんが20人余りの仲間を集めたのに対し、ダンス少女の陸さんはネットアイドル的な人気もあったのか、なんと取り巻きを100人以上も動員。口元をマスクで隠して鉄パイプや青竜刀を手に武装した双方のヤンキー集団が、多数のバイクに2人乗りで集まり、やがて互いに花火を撃ち合いながら激突した。

「マジやばい。何人かは地面に倒れて動かない」

「若者グループが関羽みたいな刀を振り回しているぞ」

とは、当時中国のネット上に流出した、地元住民のチャットグループでのやり取りである。2日後の2月27日、地元公安当局は容疑者20人を拘束して武器を押収した。病院行きとなったケガ人は奇跡的に2人で済んだという。

※当時、中国のネット上に出回った、現場を撮影したとされる動画。ヤバい。

その後9人が逮捕され、5月の裁判で4人の未成年者を除く首犯5人に懲役6年をはじめとした実刑判決が下った。逮捕者の名前を見る限り、騒ぎの発端になった黄さんや陸さんはおらず、現場で暴れまわった仲間たちが刑罰を受けた模様である。