ダークサイドの処女、セックスのシックスセンスを得る

駄青春日記~マヌケな地獄の黙示録~②
王谷 晶 プロフィール

薄っぺらい話しかしないリア充は愚かでクソ

そんなある日、珍しくコンビニかなんかでおにぎりを買い学内の休憩所で一人もそもそと食べていた昼休み。突然同じテーブルに男女混合のグループがわらわらと近付いてきて、当たり前のように私の正面や左右に座りだした。そして中の一人、いかにもデザイン系らしい原宿なオシャレをした女の子が「一人なの?」と私の目を見て話しかけてきた。

入学以来女子から声を掛けられたのはそれが初めてだった。面食らいながら無言で頷くと、女の子は「じゃあ一緒に食べましょうよ! あたしは◯◯、よろしくね!」と自己紹介を始めた。別に誇張してこんなセリフじみた書き方をしているのではなく、マジでこんな喋り方だった。友近のビバヒルものまねみたいなあのノリだ。

photo by iStock

私は曖昧に頷き、また無言でおにぎりを食べ始めた。名乗られたのに名乗らない不調法を咎めるでもなく、そのグループは私を囲んでわいわいと昼飯を食べ始めた。

みんな明るく、ノリがいい。イベントとか展示会とかあそこのクラブとか誰ちゃんのカレシ等の単語がぽんぽん飛び交い、その合間合間に「1年生?」「デザイン科?」「一人暮らし?」みたいな質問を振ってくる。話の広げ方というものを当時は知らなかったのでハイとイイエだけを繰り返し、ひたすら縮こまっていた。

それまで友達がいなかったわけではない。しかし、オタク以外の友達ができたことが人生で1回もなかったため、非オタ(っぽい)人と何を話していいのかさっぱり分からなかった。彼女たちの話している内容もぜんぜん理解できない。ゲームの話や映画の話やBLの話ならいくらでもできるのに、こういう時にどうやって会話にノればいいのか18歳の私は知らなかった。

 

そればかりか、非オタコミュニケーションができないあまりに、その責任を相手に丸投げし「薄っぺらい話しかしないリア充は愚かでクソ」みたいな一番あかん感じのオタク・ダークサイドに陥り始めていた。

この人たちはやる気ありグループの人なんだろうな。とちびちびおにぎりを齧りながら、前髪の隙間からそれぞれを観察した。そしてふいにその中に、場に馴染んではいるけどほとんど話はしていない男の人がいるのに気が付いた。クセがなく地味で、なんというか無課金初期アバターという風情の人だ。目が合ってしまったのでなんとなく会釈したら、向こうも苦笑交じりに会釈を返してきた。

そのとき唐突なシックスセンスが発動し、「私はこの人とヤることになるだろう」という直感が、脳内にひらめいた。

〈次回につづく〉