不動産ビジネスにダマされる人の「残念すぎる共通点」

あなたの名簿、回されているかも…
長嶋 修 プロフィール

「不動産=情弱ビジネス」という一面

「かぼちゃの馬車」事件のようなことは、さすがにもう今後はなくなると思いますが、不動産の一部には元々「情弱(情報弱者)ビジネス」的な側面があり、不動産リテラシーを欠く人たちが常に悪質業者の標的として狙われているのです。

もっとも不動産投資の場合、「情報弱者」は大きく分けて2つのタイプにわかれます。

近年の不動産業界では、本来ならアパート経営など成り立たない立地条件の土地をもつ高齢者に甘い言葉を囁き、割高な建築費でアパートを建てさせる悪質不動産業者の存在が問題になっています。

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これらのケースでもやはり多くが「30年保証」などのサブリース契約を結び、業者がオーナーから一括借上げするので、一見オーナーは損しないように見えるのですが、契約書をよく読むと、実際に賃料が入ってくるのは最初の数年だけでそれ以後は空室に応じて保証賃料を大幅に下げることも可能になっています。

そのため、アパートを建てたものの誰も入居せず、家賃保証も途絶え、結局は建築費用として借りた高額の借金だけが残される……というパターンです。

こうした消費者トラブルにおいては、標的にされた高齢者が「営業マンがいい人だと思った」というだけの理由で契約してしまっている例が少なくありません。

 

一方で、「かぼちゃの馬車」の場合、スルガ銀行の1億円のローンは年収が800万円以上の人でないと組めませんでしたから、被害者は皆それなりの企業に勤めるビジネスマンや公務員、中には弁護士や金融機関に勤めている人までいました。

こうした人達の場合、多くは高学歴だったでしょうし、それぞれの専門分野では相応のリテラシーだって有していたと思われます。また、人生においてそれほど大きな失敗をすることもなかったでしょうから、自分の選択には日頃から自信を持っていたのかもしれません。しかしそのリテラシーなり常識が、不動産投資でも通じると思うと落とし穴が待っています。

報道によれば、被害者たちがスマートデイズのサブリース契約を信用してしまった理由として異口同音に口にしていたのは、「スルガ銀行が提携しているのだから安心できると思った」だそうです。「銀行がお墨付きを与えている」という事実からは、たしかに頼もしいイメージだけは醸し出されています。

しかしスマートデイズのいう「利回り8%」が現実にはありえない数字であるということは、インターネットで不動産の賃料相場を調べればものの5分でわかったはずなのです。このような好物件がそうそうあるはずはありませんから。

「賃料30年保証」にしても、契約書をよく読めば「30年間同じ賃料が続く」とは一言も書かれておらず、「2年ごとに見直す」と書かれていたのに気づいたはずです(「見直す」というのは、普通は賃料が下がるという意味です)。

悪質な事件の被害者に対して。若干酷な言い方になるかもしれませんが、その程度の手間を惜しんで契約してしまったなら、やはり「情報弱者」との誹りは免れません。