黙々と、ただ黙々と……

「残業続きで精魂尽き果てる」←この文の誤りを正してください

熟練校閲者からの挑戦状・後編
日々、文章の誤りと格闘しながら「本の品質」を保証する講談社校閲部。その大ベテランたちが叩きつけた「熟練校閲者からの挑戦状」前編では、いったいあなたは何問正解できただろうか……な、なに、全問わかっただって!? コホン。それじゃあ、ここから始まる後編では、どれくらい正解できますか?

前編はこちら⇒「急拠、出張することになった」←この文の誤りを正してください 

* Twitterで出題された問題の解答は1ページ目(問題D)、2ページ目(問題E)、3ページ目(問題F)に掲載しています。

同音異義語に注意せよ

では、さっそく次の問題を解いてみましょう!

【問題D】誤りを正してください。
1 慰労のないように校閲したつもりですが……
2 証言は現場の状況に符号する
3 誰しも出所進退は誤りやすいものだ
4 残業続きで精魂尽き果てる
5 悲しみの縁にあるはずだが頰笑みは絶やさない

◆ 答えと解説 ◆

【問題D】

1 慰労のないように校閲したつもりですが……
遺漏

2 証言は現場の状況に符号する
符合

3 誰しも出所進退は誤りやすいものだ
出処進退

4 残業続きで精魂尽き果てる
精根 18は「シュッショシンタイ」と、19は「セイコンツキハテル」と入力すれば、大抵正しい漢字を示してくれるはずですが、二語に分けて(あるいは一字一字?)入力した場合おかしくなりがちです。

5 悲しみの縁にあるはずだが頰笑みは絶やさない
悲しみの淵 『実例集』では崖っ縁で縁と淵について扱っています。「頰笑み」は「微笑み」しか示さない辞書もありますが、誤りではありません。

一般に同音異義語は数も多く厄介です。

『実例集』に取り上げたものを一部だけ並べてみます。

苦汁/苦渋
修行/修業
焼失/消失
清算/精算
包容/抱擁
対照/対称/対象

取り上げていないものにも、

意志/意思
異状/異常
体制/体勢/態勢
保証/保障/補償

などがすぐに思い浮かびます。

これらは前後の文脈からじっくり判断しなければいけないケースが多いものです。

「目礼」と「黙礼」は多くの文脈でどちらも使えるかと思いますが、遺影に対してなら「黙礼」がふさわしいでしょう。ただ、遺影の人物が「あとは頼む」と語りかけている気がした、といった場面なら「目礼」もありうる気がします。

縁/淵のような訓読みの例では、『実例集』で責め/攻め、則る/乗っ取るなどを取り上げています。

どこかおかしな仮名遣い

【問題A】には入れていませんでしたが、典型的な仮名遣いの問題を二つだけ出題しましょう。

【問題E】誤りを正してください。
6 食事の支度ができ、「おまちどうさま」と声をかけた
7 このくらいこじんまりとした店がちょうどよい