# 飲食店経営

「いきなりステーキ」を成功させた「真似のできない飲食店」の仕組み

「社長のアイデア」と「母の教え」
折原 みと プロフィール

名物「立ち食いスタイル」を変えた理由

 オープン当初、「立ち食いステーキ」というインパクトで世間の注目を集め、大当たりした「いきなり!ステーキ」。しかし実は現在、ほとんどの店舗には椅子があり、座って食べられるようになっている。「立ち食い」という「売り」を捨て、どうして椅子を置くことにしたのだろうか?
 
そのインパクトは、もう役目を終えましたからね
 
一瀬社長はあっけらかんとこう答える。
 
「立ち食いだったから話題になり、マスコミでも取り上げられた。でも、その目的は達したわけです。やはり、椅子がないから絶対に来たくないという人もいますから」
 
椅子を置くとゆっくり食べるようになる。そうなると、いつもお客さんが入っている状態をキープできる。外から見て客が少ない店よりも、お客が多い店の方が美味しそうに感じるのが人情だ。
 
とはいえ、実は椅子があっても長居をする客は少ない。もともと、のんびり食事の時間を取ることよりも、純粋に食べることだけを目的としたお客が主流のため、平均滞在時間が30分から35分に延びる程度なのだ。回転率も落とさず、いつも客が入っている状態をキープできる絶妙のバランスだ。

 

アイデアを思い付いたらすぐ実行

一瀬社長の話を伺っていると、そのアイデアの豊富さ、柔軟な考え方に驚かされる。小さなレストランのコックだった社長が、一介の料理人に留まらず、正規社員700人以上、パート・アルバイトを加えると7000人もの従業員を抱える大企業を築くこととなった成功の秘訣は、その突き抜けた発想力と、それを実行に移す行動力にあるのだと思う。
 
「特殊鉄皿」「センサー付き電磁調理器」独自の顧客管理システムである「肉マイレージシステム」……。オフィスの廊下には、社長が取得した特許の証明書がズラリと飾られている。

社長室に飾られた特許証明書

最近、一瀬社長が考案し力を入れているのは、マグネット入りの箸だという。箸の中に仕込んだ磁石のおかげで、左右の箸がくっつき、バラバラになったりテーブルから転がり落ちたりすることがない。実際に使ってみたが、なるほど優れものだ。この新発明で、社長はまた食の世界に改革を起こそうとしている。

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