# 飲食店経営

「いきなりステーキ」を成功させた「真似のできない飲食店」の仕組み

「社長のアイデア」と「母の教え」
折原 みと プロフィール

ある人のアドバイスで、ガスの代わりに電磁調理器を使用することにしたが、当時の電磁調理器は家庭用で、飲食店で使用するには出力が足りなかった。そこで一瀬社長は、電力会社と厨房機器メーカーが開発中の高出力電磁調理器を鉄皿の寸法に合わせ、モジュールを加工してもらった。これが、国産の業務用電磁調理器の第一号になったのだという。
 
美味しいステーキを焼くためには、鉄皿を加熱しすぎても加熱が足りなくてもダメ。社長はメーカーの協力を得て試行錯誤を繰り返し、ついには、センサー付きの電磁調理器の特許を取るに至った。

プロの料理人でなくても美味しくステーキを焼くことのできる発明が、「いきなり!ステーキ」実現の第一歩だった。こちらはひれステーキ

特許証明書がずらり

 今では、飲食店で電磁調理器を使用することはごく当たり前のことになっている。しかし、それを日本で初めて仕掛け、飲食業界に広めるきっかけを作ったのは、一瀬社長だった。「いきなり!ステーキ」の生みの親は、日本の飲食店の厨房に技術革新をもたらした「パイオニア」でもあったのだ。

 

 
電磁調理器のパワーは画期的で、鉄皿の加熱時間は大幅に短縮され、料理のスピード提供が可能になった。コックレスで人件費を抑え、料理のスピード提供でお客の回転率を上げる。驚くべきことに、「いきなり!ステーキ」のビジネスモデルは、今から20年以上も前に出来上がっていたのだ。
 
が、お客の回転率を上げるための秘策はもうひとつあった。高価な「ごちそう」であるはずのステーキを立ち食いで提供するという、常識破りのサービスだ。前菜もデザートもなし、いきなりメインのステーキを平らげてさっと帰るから、お客の滞在時間は短く回転率が高い。椅子を置かない分、収容人数も多い。こうして、原価率の高いステーキで利益を出すことが可能になったのだ。
 
ちなみに、店名は社長自らが考えたものだという。いきなりステーキにかぶりつくから、「いきなり!ステーキ」。そのまんまだが、パンチの聞いた秀逸なネーミングだ。