甲子園…あの夏のヒーローたちはまだ野球を続けているだろうか

佐賀北・副島 「サヨナラボーク」ほか
週刊現代 プロフィール

'10年、甲子園に吹きあれた「興南旋風」を記憶している人は多いだろう。

野茂英雄を彷彿とさせる「琉球トルネード」島袋洋奨(現ソフトバンク)を擁して春のセンバツを制した興南(沖縄)は、勢いをそのままに夏の甲子園に上陸。

圧倒的な打撃力で勝ち上がり、決勝では東海大相模(神奈川)を13-1の大差で破り、深紅の優勝旗を手に入れた。

 

その興南打線のキーマンが、1番セカンドの国吉大陸だ。この大会、6試合すべてでマルチ安打と、大暴れした。

「センバツは過去に沖縄尚学が優勝していますが、夏の沖縄県勢の優勝はなかった。県の皆が待っている。そういう気持ちがチーム全体に異様な熱気をもたらしていました」

高校最後の夏を最高の結果で締めくくった国吉は、高校日本代表にも選出される。そこで一緒に二遊間を組んだのが、山田哲人(現ヤクルト)だった。

「同じ年頃でも打球の質が全然違う、彼らに比べたら、自分なんて全然才能がないな、と思いました。もう、野球に未練はありませんでした」

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野球からきっぱりと離れた国吉は、明治大学に入学。公認会計士を目指して猛勉強を開始する。

「大学に行きながら、資格の学校にも通いました。しんどかったですね。野球を辞めたらのんびりできるかと思ったけれど、大学に入ってからの3年間は、寝る間を惜しんで勉強していました」

大学在学中に晴れて公認会計士試験に合格し、26歳になった現在は税理士法人事務所に勤めながら、経営者たちにアドバイスを行っている。

日夜数字と格闘する日々の息抜きは、休みの日に以前の勤務先だった監査法人の草野球チームの一員として汗を流す時間だ。

「ごく普通の草野球なのに、僕は笑っちゃうくらい打てないし、エラーもする。チームのみんなも最初の頃は『甲子園優勝球児だ』って期待してくれたけど、いまはすっかり忘れられています(笑)。

でも、そんなのんびりとした野球が心地よい。勝ちにこだわるわけではなく、楽しくボールを追いかけています。興南のメンバーたちとも、いつか同じグラウンドで草野球ができたらいいね、と話しています」