自閉症の子を持つ大学教授が相模原事件・植松被告に尋ねた一つのこと

「あなたの父親が心失者になったら…」
佐々木 隆志 プロフィール

被告手記中止の署名提出

2018年6月21日、私と「静岡市静岡手をつなぐ育成会」の中村章次会長や私のゼミ卒業生は、2,071人分の被告手記中止に関する署名を創出版に提出した。その際、街頭での意見やメールで寄せられた意見も同時に提出した。

私と中村育成会会長は、刊行予定の手記の目次を見ながら、第一部の植松被告(殺人者)の部分は全面削除するよう強く申し入れた。編集上それが難しいのであれば、最後にその原稿を再考して欲しいと強く要望した。

篠田編集長は検討すると回答した。その際、変更される部分を書面で私たちに提出するよう求めたところ快諾をえた。しかし、7月20日の刊行まで全く連絡はなく、7月下旬、出版差し止めを強く求めた書籍が届いた。私たちは大きな怒りと恐怖を感じた(「静岡新聞」、2018年6月22日(金)、30面)。

 

事件が社会に与えた影響

津久井やまゆり園の事件以降、福祉関係の施設では防犯体制が強化されてきている。

保育所等では門から入口まで監視カメラの設置、静岡市内の児童自立支援施設でもカメラの設置を増やし管理体制を強化している。

私は静岡県内の学生の施設実習巡回指導の場面から言えば、社会福祉施設などでは防犯上の整備が目立つ。

具体的には、どんな対応がされてきたのか。どのような手段・方法を講じているのか。

障害者総合施設を運営している法人から資料提供をして頂いた。事件後、「施設攻撃する。襲う」という電話が入っている。

特にどの施設も夜勤体制における夜間警備員の常設(23:30~5:00に警備員を配置する)である。

また、施設事務所に「オートコールシステムの導入」し、利用者居室の出入りが全て配信されカメラで見られるようになっている。「ネットランチャーの設置」は巡視員が侵入者を拘束する備品を設置している。職員全員が「催涙スプレー」を携帯し施設の安全を守っている。また、土・日祝日の門警備員の配置や休日の門の出入りについて警備員を契約し配置している。

日本では1981年の国際障害者年を契機に、「完全参加と平等」が叫ばれ、施設の社会化がさらに推進されてきている。つまり、施設が地域の中の社会資源として、地域住民の方々が自由に地域の施設に出入りしたり利用したりする開放性があった。

施設の運動会に町内会の方々やボランティアの方々がお手伝いするなど多くの交流を持つことにより、自助、公助、共助、互助の精神が相互に培われていくのである。

障害の有無にかかわらず、誰もが地域のなかで安心して生活できるように、それぞれの立場で健全な環境を整えてあげることが急務である。