手記出版について報じた新聞記事

自閉症の子を持つ大学教授が相模原事件・植松被告に尋ねた一つのこと

「あなたの父親が心失者になったら…」

植松被告の偏見が社会にでる危険性

「相模原殺傷被告『植松被告』書籍化に抗議」(「静岡新聞」、2018年6月8日夕刊、3面)

私たちは2018年5月17日、立川拘置所で植松被告と接見し、被告手記が書籍化されることを知った(「静岡新聞」2018年6月5日朝刊、1面)。

植松聖被告は元同施設職員で、2016年7月26日、神奈川県津久井やまゆり園入所者19人殺傷し、26人に重軽傷を負わせた戦後最悪の大殺人事件を犯した人である。

その事件に怯える関係者が今も相当数いる。その現状を考えれば、植松被告の手記の書籍化は容認できるものではない。

そこで、本学の学生やゼミ卒業生が中心となり、静岡市駅前、北口、南口で署名活動を行った。2016年事件当時の新聞記事を配布し、出版差し止めの署名を訴えた。

書籍を読むことにより、植松被告の偏見が社会にでることは危険である。そして、優生思想に共感する人が増加する恐れがある。

 

事件に怯える障害者たち

「植松被告の手記に『波紋』 接見の教授『障害者傷つく』」(「東京新聞」、2018年6月27日、夕刊6面)

被告手記出版差し止めのもう一つの理由は、事件に怯える我が子へ安心できる生活が送れるように生活環境を整えてあげたいからだ。

私は障害を抱える子の親として、相模原事件は親類が殺害されたような気持ちで取り組んでいる。

彼は22歳の男性で広汎性発達障害を持ち、事件以降怯えている。彼は「障害者は、生きていることが不幸だ」「障害者は生まれてこなければよかった」「僕がいることが幸せか」等々、これまで口にしたことのない言葉を言うようになった。

彼の気持ちは不安定になり深夜に何度もうなされ、意味不明な叫び声や、夕暮時にはシャッターを下ろしたり玄関の鍵を二重にロックしたり、事件前には見られなかった心の動揺が起きた(「被告今も主張改めず」毎日新聞、2018年7月24日(火)、27面)。

さらに植松被告が「神奈川から静岡へ向ってくる」と何度も怯えていた。植松被告は警察が逮捕したので安心するように何度も言った。

「息子がパニックになるので、我が家で『植松』は禁句」(「相模原事件被告手記・編集長の考え本に」朝日新聞、2018年7月23日(月)、34面)、(「事件の影響、ハーフタイム」中日新聞、2018年6月27日(水)、28面)

我が子に限らず、遺族の方々、施設職員、障害を持つ方々にとっても逮捕された者の身柄が拘束されているが、彼の偏見が社会に出ることにより、社会全体が危険にさらされていることになる。