「発達障害者は仕事弱者だけでなく恋愛弱者でもある」と言える理由

発達障害でも幸せになれる恋愛の作法
トイアンナ, 借金玉 プロフィール

借金玉 恋愛って、相手が何を望んでいるのか正確に分析するところに“難”があるじゃないですか。しかも人間の要求って大いにして矛盾しているから、「仕事でたくさんお金を稼いで欲しい」「でも寂しいから早く帰ってきてほしい」と平気で言ったりしますよね。

トイアンナ ダブルバインドで相手を追い詰めてしまうケースですね。「賢い女がいいけれど俺より偉くなってほしくない」とか、男性にもそういう人はいます。

借金玉 つまり人はそれぞれ求めるものが違うのに、そこを言語化しないで恋愛するからトラブルわけです。だから単純に、まずはそこをはっきりさせて、すり合わせるところからはじめたほうがいいんじゃないかと、ただ…これは本当に難しいですね。そういう人、あまりいません。

トイアンナ 問題なのは、その手順に相手が付き合ってくれるかどうか。そういう意味では、自分が相手を選ぶと言うよりも、相手に選んでいただくつもりで丁寧に探したほうがいいかもしれないです。

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愛とは何か?

借金玉 最後にひとつ聞いてもいいですか? 恋愛でたどりつくべきものって何だと思います?

トイアンナ そんな抽象的な答えは持ってないです。もし答えがあったら、私、恋愛相談なんて受けてませんから(笑)。

借金玉 では、愛とは何ですか? これを聞くと、その人の政治観やら価値観やらだいたい見えてくるんです。

トイアンナ そうなんですか。愛とは……、理解しようとする試み?

借金玉 うーん、かなりリベラル寄り、相互尊重、言語優位で契約とかに順応性があるタイプ、ということがわかります(笑)。

トイアンナ なるほど(笑)。別のタイプの人の答えは、どんなものがあるんですか?

 

借金玉 たとえば、「愛とはすべてを受け入れること」って言われたら、僕は瞬間的に「この人は何を言ってもいい奴なんだな」と判断して、舐めて適当な話しかしなくなります。

すべてを受け入れるということは、相手が包丁を持って襲ってくることを想定しない人だと思うので。もしくは、包丁を受けとめる人かもしれないけど、その可能性は低いですから。

こういう大喜利みたいな質問って実は恋愛工学の常套手段で、用意しているかどうかがすべて。だいたい相手が混乱するので、賢いかどうか関係なく誰でも優位に立てるんです。恋愛工学においては、相手より優位に立って恋愛を支配することが目的ですから。僕はそうした恋愛関係に興味はないですけど……。

トイアンナ 恋愛工学は、やはり立場の優劣を重視している点を批判的に見てしまいます。弱者ももっと対等に恋愛できるといいですよね。

発達障害者とお付き合いして苦労している方を「カサンドラ症候群」というんですが、加害者・被害者の関係になるのではなく、お互いの負担が軽くなるコミュニケーションをとっていったほうがいいです。

借金玉 僕たち弱者は、「定型発達者」の方たちは、自分たちに欠損している能力を持っているんだという前提を忘れたらいけないと思うんですね。

だからといって、どちらかが一方的に配慮するだけの関係はキツいし、発達障害があるから許せというのも、僕は違うと思っていて。

「理解と契約」という言葉をよく使っていますけど、結局は、お互い違う人間同士だから相互理解を大事にしたほうがいいと思います。