トランプと習近平、それぞれが抱える憂鬱と貿易戦争の行方

まさに内憂外患だ

23日、米国のトランプ政権は、知的財産の侵害を理由に第2弾の対中制裁関税を発動した。さらに、今後、トランプ大統領は2000億ドル相当の中国からの輸入品に追加関税を課す考えも示している。中間選挙に向けた人気確保のために、トランプ氏の対中強硬姿勢は簡単には収まりそうにない。

米国がさらなる制裁措置を発動すると、中国経済の成長にとって重要な輸出に下押し圧力がかかることは避けられない。その影響はアジア地域を中心に新興国に波及し、世界の投資家がリスクオフに向かう恐れがある。米国経済にも相応の影響があるはずだ。トランプ政権が仕掛ける貿易戦争は世界経済のリスク要因と考えるべきだ。

 

対外強硬姿勢を強めるトランプ大統領

米国ではモラー特別検察官の指揮のもと、2016年の大統領選挙にロシアが介入した疑惑に関する捜査が進んでいる。21日には、トランプ氏の選挙対策本部長を務めたマナフォート被告に有罪評決が出た。また、トランプ氏の顧問弁護士だったコーエン被告は司法取引に応じ、選挙資金の違法寄付などで有罪を認めた。

中間選挙を控える中、元側近2人の有罪はトランプ氏にとって痛手だ。特に、マナフォート被告はロシア疑惑解明の重要人物とみなされている。今後の捜査によっては、一段とトランプ氏にとって不利な内容が明らかになる可能性もある。トランプ氏は、真綿で首を絞められるような状況に直面しているといえる。

米国内でロシアゲート疑惑の捜査が進行し、トランプ氏への懸念が高まるのであれば、民主・共和党双方の有権者がトランプ氏を批判するだろう。特に、中間選挙にて全議席が改選される下院では、民主党が過半数の議席を確保する可能性がある。実際に下院で民主党が過半数の議席を確保すると、下院で大統領の弾劾訴追案の提訴が成立することもあり得る。

大統領再選を目指すトランプ氏にとって、この展開は何としても防がなければならない。そのために同氏は、中国の知的財産権の侵害等を理由に制裁を課し、ラストベルト地域を中心に有権者からの人気を獲得することを重視している。当面、通商・外交の両分野においてトランプ氏は支持確保のために対外強硬策をとるものとみられる。

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