開戦2日前、東條はなぜ寝室で号泣したのか…「昭和の怪物 七つの謎」

保阪正康×半藤一利
週刊現代 プロフィール

保阪 東條夫妻はオシドリ夫婦で知られ、東條は当時の軍人にしては珍しく、浮いた話がほとんど聞かれませんでした。ベルリン駐在武官時代には、夫人に宛てて、計240通以上もの手紙を出しています。

東條を陸大に合格させるため夫人が日本女子大を中退したり、方眼紙に夫と勉強法を細かく書いたり、「私が必ず夫を陸軍大臣にしてみせる」と言ったり……。

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「東美齢」というニックネームは、私も聞いていますが、私が夫人から話を聞いた頃は、「孫の世代のあなたには何でも話します」と言って、平凡な老未亡人に映りました。

また、東條の号泣話は、準備していたわけではなく、別の話をしていた中で、ふと思い出して漏らしたのです。

半藤 たしかに東條を東條たらしめたのは、夫人の功績大とは思います。

保阪 ついでに、東條家で夫人と娘から話を聞いていた時のエピソードを一つ話しますと、ある時、役所から突然、電話がかかってきたんです。「(夫人の)今年の恩給は400万円でよろしいでしょうか」と確認しているんですね。

当時のサラリーマンの平均年収よりも多い額だったので、驚いてしまいました。

 

半藤 元大将と元二等兵とでは、月給が100倍も違ったというからね。

旧日本軍幹部は、戦争の責任はろくに取らなかったくせに、恩給はたんまりもらっていた。地位に関係なく恩給が一律だったドイツとの差を感じます。