がんなど大きな病気にかかったときの費用は誰もが気になるところだ Photo by iStock

46歳未婚フリーランス、親のがんで借金して知る「老後の金」の現実

月5万円で生活ってやっぱり無理では…

誰もが「一人で生きる」ことを考えるいま、「フリーランスの女性とお金の向き合い方」を執筆してくれているフリーライターの長谷川あやさん。前回は多くの人にとって一生で最大の買い物といえる「マンション購入」について書いてもらった。「マンション購入だけで大きな借金はもうしない」と心に決めた長谷川さんが、再び借金をしなければならなかった理由とは——。
 

1000万÷365。フリーランスが、年間1000万円稼ぐには、1日27,400円を売り上げなければならない。しかもこの計算には、休日が含まれていない。この単純な数式に気づいたとき、愕然とした。これはなかなかのハードルというか、普通に原稿だけ書いていても無理じゃないだろうか。

それでも私はフリーランスになったことを後悔していない。会社員とフリーランス、どちらが上だとかといったことも一切思っていない。会社員に対して、優越感もないし、引け目も感じていない。

25歳のとき、私はフリーランスで生きることを選択した。そして、その選択に後悔はない──、いや、なかった。基本的には今でも悔いはないのだが、ここ数年、疑問というか、不安というか、複雑な思いを抱いていることがある。日本の年金制度は、なぜ自営業や個人事業主に冷たいのだろうか、ということだ。

入りたくても入れない厚生年金

周知の事実ではあるが、日本の公的年金は、国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての人が加入する(ことになっている)「国民年金」と、会社員や公務員などに加入が義務付けられている「厚生年金」の2階建となっている。「厚生年金」は基礎年金である「国民年金」に加え、上乗せ分の金額で構成されるため、そのぶん将来の支給額も多くなるというわけだ。私のように会社に属さない個人事業主や自営業者、そして無職の人は、「厚生年金」には加入できず、「国民年金」にのみ加入することになる。

「厚生年金保険・国民年金事業の概況」(2016年度)によれば、国民年金を40年間満額、支払った場合の月の支給額は64,941円。平均受給額は月額55,373円だ。一方、厚生年金の被保険者の1ヵ月あたりの平均受給額は145,638円となっている。

多く払っているのだから、受け取り額が多いのは当然だ。しかし、個人事業主や自営業の人は「厚生年金」に加入したくても加入できない。せめて私は月額400円を積み立てられる「付加年金」は地味に払っているが、お金の桁が違うのだ。働き方によって加入できる年金が決められている日本の年金制度に私は疑問を感じる。

また、厚生年金の保険料は一律ではなく、所得が増えるのに比例して負担額が高くなる(もちろんその分、受給額も多くなる)が、保険料の半分を、雇用主である会社が支払っているため(労使折半)、収入によっては本人が支払う額が国民年金オンリーの人の負担額よりも安いケースもある。しかし「会社」ってすごい組織だな。そして、会社員いいな。

東京で月5万で生きる?

それにしても、東京で、月5万円強で生きていくのには無理がある。スーパーボランティアの尾畠春夫さんは貯金はほとんどなく、月額約5万5000円の年金のみでボランティア費を捻出し、車に寝泊まりし、野草を食べていると書いてあったが、同じようにできる自信はまったくない。

いま住んでいるマンションの管理費等で2万円強。たとえば、70歳になったとき、会社の正社員の友人たちとの生活レベルの差はかなりのものだろう。老後に備え、なんらかの対策をしない限り、一緒に飲みに行ったり、旅行に行ったりなんてできそうにない。まあ仕方ない。この日本の不公平な年金制度を理解した上で、フリーランスという働き方を選択したのだ。

私は老後の生活について真剣に考えないようにしていた。考えたくなかった。しかし、国民年金だけでは決して生きてはいけないことを、私は早々に痛感することになる。

2012年9月、私がマンションを購入するやいなや、田舎の両親が転がり込んできた。「はあ?」と思われた方もいるかと思うが、「お金」をテーマとする記事の趣旨と離れるのでここではその理由はスルーする。

食費や生活用品は2人の年金で賄うという。住宅ローンと光熱費は私の負担だ。とにもかくにも70歳前後の両親との生活が始まった。

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