国松長官が狙撃された直後の、長官の自宅・南千住アクロシティ(写真提供:時事通信)

警察庁長官狙撃事件の真犯人を支援した男の「正体」

「ローンウルフの思想」を受け継ぐ者

平成7(1995)年3月30日に発生した、國松孝次警察庁長官狙撃事件。特捜本部は「オウム真理教による犯行」と見て捜査を行ったものの、真相究明には至らず、2010年、事件はついに公訴時効を迎えた。

一方、警視庁捜査第一課の原雄一刑事は、警察組織に激しい憎悪の感情を持つ老テロリスト・中村泰の存在に注目。執拗な取調べによって、長官狙撃の克明な自供を引き出していた。

しかし、20年以上にわたる原氏の執念の捜査をもってしても、解明できなかった謎があった。犯行当日、中村の運転手役を務め、狙撃を手助けした「協力者」の正体だ。

 

原氏は今年3月、事件の真相を明かす著書『宿命』を刊行。その中に、真の「協力者」を浮上させるため、あえて事実と異なる記述を仕込んでいた。すると驚くべきことに、『宿命』を読んだ「協力者」本人から、狙い通り連絡が入ったのだ。

軍事組織で鍛え上げた褐色の強靭な肉体と、精巧な射撃技術、瞬時の判断力を兼ね備えたその男は、いったい何を語ったのか――。9月2日(日)、8日(土)のNHKスペシャル「未解決事件シリーズ」での本事件放映を控え、原氏が特別寄稿する。

エージェントDからの手紙

私は賭けに出た。講談社の校閲担当者から、「狙撃事件前に中村とエージェントDこと小川は出会っていたのではないのか。サンフランシスコとロサンゼルスに同時期滞在している二人がアメリカ国内で遭遇する機会はあり得るのではないのか」と指摘されたが、それを訂正せずに網を仕掛けた。

その上で、私は、「警察庁長官狙撃事件のハヤシは、エージェントEこと大島洋一であると確証を持った」と、小川が狙撃事件の支援者になることはないと説いた。

ここに小川は顕著に反応した。

小川は、講談社に送ってきた封書に著書の294ページを複写して同封し、4行目の「私は、大島こそがハヤシであることを中村の細かな言動や表情で確信した」と書いた部分の「大島」を丸で囲み、その横に小川の本名を書き添えてきた。

さらに、295ページも複写して、

六 エージェントE 「大島洋一 昭和二七年生」

という部分を完全に消して空白にしてきた。

「俺こそが狙撃事件の支援者だ」と小川は言っているのか。

自らが警察庁長官狙撃事件の支援者と表明しているのか。