騙されるな、空前の電気自動車(EV)ブームは空振りに終わる

次世代環境車の穴馬はLPG自動車か?
大原 浩 プロフィール

環境自動車の伏兵LPG自動車に注目

電気自動車と並ぶ次世代環境自動車の花形は水素自動車だが、こちらも普及への道のりは平坦では無い。

水素ステーションの建設がネックなのだが、トラックやタクシーなどの決まったルートや範囲を走る業務用自動車においては、ステーションの数の少なさは問題になりにくい。トヨタ自動車が、業務用での水素自動車普及に力を入れているのは当然とも言えよう。

 

もし、この業務用での普及がうまくいけば(トヨタはタクシー車両の9割を独占しているとされる)水素自動車の普及に弾みがつくかもしれない。基本的にはガソリン自動車と同じように扱えるので消費者にとって利便性が高いのだ。

しかし、それよりもはるかに合理的で普及の可能性が高いのがLPG自動車あるいはその延長上のLNG(液化天然ガス)自動車である。

LPGはタクシーにおいてはすでにメジャーな燃料であり全国に分布するLPGスタンドはおよそ1900軒。30000軒以上あるとされるガソリンスタンドに比べれば見劣りするが、この数でも十分機能するのであり、水素ステーションも目標の1000軒を達成すれば加速度的に普及するはずである。

二酸化炭素排出量を全くゼロにするというのであれば水素しか選択枝が無いが、LPG、LNGもガソリンやディーゼルに比べれば二酸化炭素などの環境負荷はかなり低いのだ。しかも燃料費が安い。タクシーにLPGが普及した最大の理由が価格の安さである。

LPGステーションで水素を製造することも比較的簡単に簡易設備でできるが、LPGは要するにプロパンガスであり、すでに全国的に普及し販売網・流通網が整備されている。

何よりも10年間で数十万㎞走るタクシーに使っても何の問題もないどころか、大いに経費、燃料費を節約しているのである。

自動車産業は政治的思惑に左右されることも多いが、投資家などは消費者フレンドリーなこのLPG・LNG分野にこそ注目すべきである。発電においても、石炭・石油から環境負荷の少ない天然ガス(LNG)への移行が着実に進んでいることを見るべきであろう。