騙されるな、空前の電気自動車(EV)ブームは空振りに終わる

次世代環境車の穴馬はLPG自動車か?
大原 浩 プロフィール

その上、電気はクリーンでは無い

そもそも、燃料のガソリンの安定供給が長期に見込めるのに、電気自動車が脚光を浴びた理由は何か。

説明するまでもなく地球温暖化が世界的な問題として急浮上し、ガソリン自動車は二酸化炭素排出の元凶としてやり玉に挙がったからだ。

確かに電気自動車そのものは二酸化炭素を排出しないかもしれないが、いまだ発電所は化石燃料を燃やす方式が主流を占めている。

しかも、化石燃料を直接内燃機関で燃やす方式より、発電所から長い距離を送電し充電してからの使用となり、その間、相当なエネルギー損失が発生する。つまり電気自動車は、化石燃料の効率悪い使い方に過ぎない。結局、環境を破壊しているのである。

世界の発電を見れば、石炭火力が約40%、天然ガスが約20%、水力発電が約17%、原子力が約11%。原子力を含めれば、自称環境保護運動家が主張する環境にやさしくない発電が7割以上を占めているのだ。

しかも、今後、電気自動車が普及すれば今以上に莫大な量の電気が必要になるから、環境を破壊する発電所を新規に大量に建設しなければならなくなる。日本だけでも自動車は8000万台もあるのだ。

一方、再生可能エネルギーは実際のところ役に立たない。太陽光発電のように晴れた日の昼間しか発電できない役立たずはともかく、風力も24時間稼働するとはいえ、風速にはかなりの幅がある。

精緻なシステムで運営されている電力網にとっては、このような不安定な電気はシステムの維持に悪影響を与える「無いほうがまし」とさえいえるような代物である。

また、太陽光パネル設置のためにハゲ山にするというような問題だけでは無く、使用済みの太陽光パネルの処分を環境を破壊せずに行うのは簡単ではない。

福島原発事故の前には、自称環境保護運動家たちが「原子力発電は二酸化炭素を排出しないからクリーンエネルギーだ」と主張していたが、彼らはいったいどこに消えたのだろうか?

 

電気に頼ると社会は脆弱になる

一時期は「火事が起こらない安全性」が強調されて人気を博していた「オ―ル電化」だが最近はほとんど耳にしない。東日本大震災の際に、オール電化は停電したらどうしようもないということがよくわかったからであろう。ガスの供給が止まるリスクよりも停電のリスクの方がはるかに高い。

石器時代、青銅器時代、鉄器時代という歴史区分があるが、現在は明らかな「電気時代」である。電気の供給が1週間止まるだけで、現代文明は崩壊するであろう。それなのに、電気の供給というのは極めて脆弱である。

日本ではシステムがきちんと管理されているので目立たないが、米国を含めた海外では停電は決して珍しくない。

しかも、地球温暖化よりもはるかに恐ろしいのが「太陽風」による「磁気嵐」である。この「太陽風」は美しいオーロラを楽しませてくれるが、大規模なものは、電磁波によって地上の電気システムをすべて破壊してしまうのだ。

1859年の太陽嵐は有名で、現代であれば同規模の嵐がやってきたら「電気文明」はひとたまりもないはずだが、1879年にエジソンが白熱電球を発明する前の出来事で、「電気時代」以前であったため事なきを得たに過ぎない。

我々の「電気時代」はまだ百数十年程度の歴史しかないのであるから、どのような潜在的リスクが潜んでいるかわからない。過度に電気に依存すべきでは無く、むしろ電気以外のエネルギー源を模索すべきなのである。

ちなみにハイブリッド車は、「自家発電」できるので、このような災害の際にも大いに頼りになる。