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最新脳科学が明らかにした「子どもの脳」に関する驚きの仕組み

日本人の脳にせまる⑧

夏休みの終わりが一番危険

長い休みが終わるとき、子どもに異変が起き始める。体調を崩し、情緒不安定になり、攻撃的になったり押し黙ったりする。一年で最も子どもの自殺率が高くなるのは8月の終わりだという。

確かに日曜の夜には大人でもネガティブ感情を抱えることがあるのだから、もうすこししたら学校だ、となれば憂鬱な気持ちが強くなるのも理解できる。けれども、子どもの脳には大人よりもずっとこのストレスが重くのしかかっている。

多感な年ごろ、と言われる思春期から10代終わりごろにかけての子どもたち。彼らの脳は、文字どおり実際に「多感」である。大人の脳とは情動の処理の仕組みが違うからだ。

10代の脳は合理的な判断をしたり情報を適切に処理して冷静に行動したりするには、まだまだ成熟度が足りない。一見クレバーで冷静そうに見えていたとしも、脳はあふれんばかりの情動でいっぱいになっていたりする。単に顔色や振る舞いに現れていないだけで、その子が冷静で落ち着いていると判断すると、子どもが本当は受け取ってほしいと思っているSOSを見落としてしまう可能性がある。

 

不安を感じやすい子どもの脳

子どもの脳が大人の脳と特に異なる点は、そのストレス耐性である。

子どもの脳は大人と比べるとずっとストレスに弱い。その特性から、不安障害にもなりやすいと考えられている。それなのに、現在の大人たちが子どものころよりもずっと多くの情報を処理しなくてはならず、時には脅威となる情報を含む所属集団からの有形無形のメッセージに晒され続け、その影響下で生き延びなくてはならない。

ニューヨーク州立大学のシェンが2007年にネイチャー・ニューロサイエンス誌に発表した研究によれば、THPというホルモンが脳内で果たす役割が大人と子どもでは違うのだという。THPはストレスを受けると放出されて、大人の脳ではこれが不安を抑える働きを持つ。

しかし、子どもの脳では逆に働いていたのだ。THPは不安を抑えるどころか、むしろ増幅させていることがわかったのである。子どもの脳では、ストレスを感じると不安がより大きくなってしまうということになる。