警察庁長官狙撃事件の真犯人を支援した「協力者」からの手紙

未解決事件の真相が、いま明らかになる
原 雄一 プロフィール

ついに時効成立

平成22年3月30日午前0時、警察庁長官狙撃事件は公訴時効を迎えた。

しかし、中村と小川にとっては、事件後、海外渡航をしていて、時効が停止している期間があるため、時効は未だ完成していなかった。

小川は、中村が警戒したように、何らかの行動を起こしてくるのか。

しかし小川は、この時期、服役中だったこともあり、表立った行動は起こさずに事態の推移を静観しているようだった。中村の不安と焦りは取り越し苦労となった。

最終的に、私は中村の供述に沿って、「エージェントEこと大島洋一」を狙撃事件の支援者として物語を終わらせたものの、払拭できない疑念と一抹の不安があった。

中村は、亡くなった大島洋一に罪をかぶせて円満に幕引きを図ったのではないのか。狙撃事件の支援者は、やはりエージェントDこと小川雅弘と見るべきではないのか。

 

本人しか知りえない事実

そこで、私は、「中村と小川がロスで出会えたのは、渡航歴から見て平成7年10月以降になる」と誤った筋読みを原稿にしたためた。

その上で、「狙撃事件当時、中村と小川は知り合っていない。だから、小川が狙撃事件を支援することはできない」などと小川を突き放した。もし、小川が狙撃事件の真の支援者ならば、彼のプライドからして、ここに注文を付けてくると予測した。

さらに、小川から連絡がきた場合、小川本人か否かを識別するためのキーワードも忍ばせた。それは、フランス国内から届いた絵葉書の差出人の氏名である。

著書では、「差出人 山本一雄」(『宿命』241ページ)と記したが、絵葉書に書かれた実際の差出人の氏名は「本多(﹅﹅)一雄」だった。小川雅弘を名乗る者から連絡があった場合、私は、この絵葉書の差出人の氏名を認識していることで、小川本人と識別することを企図した。

すると予測したとおり、「小川雅弘」を名乗る差出人から、4月7日付の消印の封書が講談社に届いた。

その封書には、著書の必要部分を複写して同封していた。

まず、キーワードを確認すると、案の定、「山本一雄」を「本多一雄」と訂正していた。その他にも、小川でなければ知り得ない箇所に加筆してくれていた。

例えば、私たちが捜査した京都府向日市に所在するマンションには詳細な地名を加筆し、大阪拘置所の第四舎房の独居房には「確定房」と注釈も付けてきた(『宿命』242ページ)。

この差出人こそ、エージェントD「小川雅弘」であると、私は確信した。