翁長知事を誤解している人が知らない、この国と沖縄への「真の思い」

保守の重鎮が、基地建設に反対した理由
佐藤 優 プロフィール

邦丸: 佐藤さんが書かれた東京新聞のコラムで、そうだったのかと思ったのは、「法的手段に出てもおそらく沖縄県側が敗れるだろう。最後の最後には、どうするのか」と翁長さんに聞いたら、「女房と一緒に辺野古の前で座り込みますよ」とおっしゃった、という。

佐藤: 最後まで座り込んで、とにかく暴力には訴えない。しかし、沖縄としては新基地の建設は認めない、最後まで非暴力で抵抗する、と言っていました。この翁長さんの生き方は、これからも沖縄で語り継がれるでしょう。

ただ、ここで強調しておきたいのは、翁長知事はそうして沖縄の過重負担を減らすことで、沖縄と日本の関係を正常化したい、と考えていたということです。すなわち「日本の中の沖縄」という道を歩んでいく、その道筋をつけたいと思っていたんですよ。だから、日米安保を破棄するのではなく、むしろ安定的に維持することを目指していた。その意味では、徹底した保守派だったんです。

これが、東京で誤解されているところなんですよね、翁長さんは左翼だとか、共産主義者だと言う人もいましたが、そういうことでは全くなかった。そこはブレない人でした。

 

沖縄県民がいちばん見たくないもの

邦丸: 4年前の11月、私も佐藤さんと一緒に那覇市内に入って、沖縄県知事選挙を取材に行きました。仲井眞さんと翁長さんの戦いでしたが、あの熱気はいまだに覚えています。

本来なら、この11月に第1期が終わるはずでしたが、9月30日に新しい沖縄県知事を決めるための選挙が行われることになりました。

佐藤: これは誰になるか、わからない。ただ重要なのは、どちらの陣営も正直にやらないといけない、ということです。オール沖縄は内部がガタガタになっている。誰が出てきても、翁長さんと同じようなカリスマ性は得られない。

一方で、その反対側の人たちは、正直になるべきだと思う。沖縄の中にも多様な意見があります。たとえば、「日本全体の利益のためには、沖縄は基地負担を引き受けるべきだ」と考える人もいれば、「基地は引き受けたくないけれど、中央政府が本気でやると言うなら、もう阻止する術はない。ならば、そのかわりに経済的利益を受けたほうが現実的ではないか」と考える人もいる。

そういう考えであるなら、「基地賛成」もしくは「容認」だということをはっきり言って、「沖縄のためには、この道しかないと思う」と堂々と選挙に臨むべきだと思うんですよね。

なんとなく「基地には反対だ」とか「普天間の危険を除去しなければいけない」と言って、辺野古については何も言わない。そうやって争点隠しをして、選挙が終わってから「中央政府が言っているから、しょうがないですね」となし崩し的にやっていく。これは沖縄の人がいちばん見たくない姿です。

だから、正直にやるということがいちばんの課題になると思うんです。意外と難しいんですけどね。

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