翁長知事を誤解している人が知らない、この国と沖縄への「真の思い」

保守の重鎮が、基地建設に反対した理由
佐藤 優 プロフィール

「沖縄ヘイト」に直面して

佐藤:実は、沖縄自民党の重鎮だった時代は、翁長さんは普天間基地の移設に関しても「県内でやむを得ないのではないか」とはっきり言っていました。ただ、その考えが県民と一緒に歩いているうちに変わっていったんですよ。

私が印象に残っているのは、知事になってしばらく経ったときに東京都内のあるホテルで会ったときのことなんですが、翁長さんは「私の考え方が決定的に変わったのは、2013年の1月27日なんです」とおっしゃった。

この日、日比谷の野外音楽堂でオスプレイ反対集会があって、そのあと銀座までデモをしたんです。このとき、翁長さんは那覇市長として出席していて、私もデモに参加していたんですね。

そのときに「行動する保守」という人たちが、200人くらいいたと思いますが、あちこちで日章旗や旭日旗をガードレールに結び付けて、街宣車を使って「非国民は日本から出て行け」「オスプレイは必要だ」とやっていた。そして同時に、そのうち何人かが中国の五星紅旗を持って「沖縄のみなさんを応援しています」と、あたかも中国人が沖縄のデモを支援しているように装っていた。こういう雰囲気になったことがあったんです。ヘイトスピーチ規制法ができる前のことです。

 

ちなみに、「ヘイトスピーチ」は他の民族に向けたものなので、沖縄県民は自国民だから対象にならないんですよ。だから今でも、沖縄ヘイト言説というのは、法律では取り締まることができないんですよね。

それで私が翁長さんに、「確かに、あの時はひどかったですよね。私もデモの中にいたので、すごく嫌な気持ちでした」と言うと、知事はこう言ったんです。

「いや、ああいう極端な考え方を持っている人は以前からいるんです。私が感じたのはそこではなくて、銀座通りをデモしているときに、ひと昔前なら、そういうことをしている人がいたら、『あなたたちは何をしているんだ』と注意する人がいた。でもあの時は、私が見ている限り、そういう人がひとりもいなかった。日本は本当に変わったな、沖縄に対して冷淡になったな、と思ったんですよ。

そのとき、やっぱり自分たちの身は自分たちで守らないといけない、日本政府の良識にお願いするだけではダメなんだ、自分たちで強く主張しなくてはいけない、と思ったんです」

邦丸: ふーむ。

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