発達障害を抱えて働くことの「知られざる苦悩」と「職場の選び方」

発達障害かも?と思ったら…
トイアンナ, 借金玉 プロフィール

外資系企業で働くということ

トイアンナ 私は2度転職していて、1社目がP&Gジャパンというアメリカの外資企業、2社目が、ルイ・ヴィトンのLVMHグループでフランス系の外資企業だったんですね。その2社の文化や常識がまったく異なっていまして。

たとえばP&Gは、目的をはっきりさせることは非常に良いことだという考え方なんです。たとえばこの対談記事の場合、「目標を数字に落とし込むと10万ページビューです」とか、そこまで明確にしないといけない。ルールもガチガチに決まっていました。

ところがLVMHグループでは、目標を確認すると「なんでそんな失礼なことを聞くんだ?」と言われるわけです。

借金玉 フランスのほうが日本っぽいんですね。アメリカのほうが、ルールがガチガチに決まっていたぶん楽でしたか?

トイアンナ そうですね。ルールはポリシーで決まっていまして、ポリシーさえ守っていればルールは勝手に変えてもよいという裁量権の大きさがあるのが特徴でした。

借金玉 つまり、ポリシーがあって、そこから枝葉のようにルールが伸びていく。それで何かあったらポリシーに立ち返って、正しいか正しくないか判断する、ということですね。

トイアンナ はい。さらに、ポリシーを考えた場合、このルールは適してないので撤廃していいのか?ということも上司に交渉する権利がありました。

借金玉 僕も起業した会社で、ルールとポリシーだけでやろうとしたことがありましたけど、大半の人は“気持ち”が入らないと難しいということがわかりました。

みんな、「なんで社長は自分のことを気にしてくれないんだ」と思っていて、インセンティブとルールだけでは動かなかった。

 

トイアンナ そういう意味で、アメリカ系企業のP&Gは日本の伝統的な企業からきていた方が非常に苦労されていた印象があります。

借金玉 みんなでワイワイ楽しく仕事がしたいとか、残業もみんなで残ってやりたいみたいな、ああいう暗黙のルールが悪いわけじゃないんですよ。僕は嫌いですけど。

そういうのが好きな人たちにとっては、ルールでガチガチの外資系企業は苦しいでしょうね。それと関係あるのかどうかわかりませんが、外資系で5年以上、生き残れる人はどのくらいいるんでしょうか。

トイアンナ 私の感覚では、2〜3割ぐらいですね。原因は、精神的な問題よりも肉体的限界が問題だと思いますが。

借金玉 ルールでガチガチの外資系企業は空気を読めない者にとってはわかりやすいのかもしれませんが、いずれにしても発達障害者は会社組織では強者になりにくいですよね。僕の本では、それでも生き残るにはどうすればいいか、解決策を具体的に示したつもりです。

僕自身、自分の会社も含めて、金融機関から飲食店、不動産まで、それなりの数の会社を見てきましたが、職場におけるカルチャーは本当に千差万別でした。

ですから自分がいる会社を「部族」だと思って、そこの風習、カルチャー、人間関係の掟をいち早く読みとり、順応すればやっていけないことはないと思います。