漫画『はじめアルゴリズム』主人公は「リーマン予想」を解けるのか?

作者・三原和人氏インタビュー
キグロ プロフィール

ラマヌジャンがモデル?

――監修の三澤さんとは、どういうやり取りをしているのでしょうか。

三原:三澤さんにも作品を読んでもらっていますので、作中の状況は共有できています。それで、次はここでこうなるので、ここにはまる数式は何かありませんか、とざっくり尋ねています。

例えば第十二話の、よっちゃんに大文字焼を見せるシーン。あれも先に、『よっちゃんを慰めるためにスマホで大文字焼を再現する』という構想だけがありました。それを三澤さんにお話しし、可能にする計算式を教えて頂いたという感じです。

三角関数を使って大文字焼きの高さを計算し、スマホで再現してみせたハジメ

ただ、小ネタなら自分で探すこともあります。第二話で出したカプレカ数は、ラマヌジャンのタクシー数のエピソードのようなことをやりたいと思い、ググって見つけたものです。

●ラマヌジャンのタクシー数
ラマヌジャンは1900年頃の数学者。彼が入院しているとき、彼の師ハーディが見舞いに来て、こう言った。
「ここに来るとき乗ったタクシーのナンバーが、1729だった。何の特徴もないつまらない数だよ」
するとラマヌジャンはこう答えた。
「そんなことはありません。それは、二つの立方数の和で表す方法が二通りある、最小の自然数です」
以来、1729はタクシー数と呼ばれる。

――ラマヌジャンと言えば、『はじめアルゴリズム』の二人の主人公、ハジメ君と内田さんは、ラマヌジャンとその師ハーディに似ているように見えます。ずばり、この二人がモデルなのでしょうか。

三原:いいえ、実は構想段階ではラマヌジャンとハーディのことは知りませんでした。

数学をテーマに漫画を描くと決まったとき、最初から天才少年と老数学者のコンビというアイディアは浮かんでいました。その後色々調べる中で、ラマヌジャンとハーディのことも知りました。なので、初めの方のエピソードでは少し意識していますが、モデルというわけではありません。

そもそも、ハジメにモデルはいないんです。僕の中で、描いてくうちに勝手に成長していってあのようなキャラクターになったというか。僕の作風として、キャラクターがシリアス方向に行きがちなので、そうならないように明るく天真爛漫な性格にしてはいますが。

天才数学者・ラマヌジャン(左)とその師であるハーディ(右) wikipediaより引用

数学通からの反応は正直怖い

――あまり数学に詳しくないとのことですが、『はじめアルゴリズム』は数学が好きな人達にも好評です。もともとどういった読者層を狙っているのでしょうか。

三原:想定している読者は、普段数学に馴染みのない方々です。正直、数学に詳しい人に読まれると、色々突っ込まれそうで怖いです(笑)。

担当編集の方に聞いたのですが、連載当初から女性の支持が高かったそうです。ありがたいことに、その点は今でも変わらず、女性読者から人気が高い。どうやら、ハジメが可愛いらしいくて。あと、少年と老人のコンビを好きな人も多いようです。なので、今後もそういった方々に届けられればいいなと思います。

あとは、例えば親子で読んで数学に興味を持ってくれたりしたら、嬉しいですね。