職業不詳・中国語堪能なイケメンが、アジアに「微住」し続けるワケ

現地での“関係性作り”を目的とした旅
田中 佑典 プロフィール

香港での生活はまるで「椅子取りゲーム」

香港の住宅事情に関して、前情報で既に「東京よりも高い」などと言われていたが、その驚きの価格は想像を超えていた。

微住スタートし、ゲストハウスやホテルを転々としたが、北角にあるホテル(1泊6000円ほど)はこれまで泊まったホテルの中でも一番狭く、まさに入り口開けたらすぐベッド、そしてシャワールームの真ん中に便器という、まさにカルチャーショックであった。

とある日、香港の友人がたまたま引越しを考えているようで、彼の家探しに参考ながら同行させてもらった。場所は九龍城の近く、最寄り駅から徒歩で15分以上歩いた決して便利な場所ではない。

町の不動産屋に入り、条件を伝え、3つほど物件を紹介してもらう。

1軒目、外観からしてもあんまり雰囲気の良くない建物。

8階だと言われて、中に入るとエレベータはなし。

数歩あるくだけで汗が吹き出す香港の湿気、先頭でどんどん駆け上がる不動産屋のおじさんを追いかけようとすでに我々は汗だく。

ようやく8Fに着いたが、まさにそこは映画のセットのような廊下、錆びついた鉄骨に、萎れたTシャツが吊られている。鉄壁の門を開くと、3つほどの部屋がある。「おお、部屋結構多いじゃん」って思ったのもつかの間、この1つの部屋だという。そのほかの部屋はほかの住民が住んでいる。

香港では個人用の部屋が少なく、さらにそれを改めて作る土地がないため、単身用の部屋の多くは、この物件のようにセパレートし無理やりシングルルームにしている。

肝心の部屋のドアを開けると、4畳ほどのスペースに小さな窓、そしてトイレ。

これで日本円で6万円ほどだという。東京でも少し都心を離れれば、6万円でも十分に住める物件はたくさんあると思うけど、とてもじゃないけど、6万円払っても、この部屋(?)で住むことなんて到底できない。

次の物件はこれほとんど同じくらいのスペースになぜか二段ベッドが備え付けられていて約7万円、3つ目は前の2軒に比べると5畳くらいと少しは大きくなり、窓も大きめになって、9万円だったかそのくらい。「住む」というよりかは「凌ぐ」という言葉の方が近い香港の家。

聞くところによると、日本でいう一般的な暮らしのできる物件は基本不便な場所であっても12万円くらい出さないと見つからないそうだ。

不動産探しの一コマ。写真:著者提供

また、現在香港では生活保護受給者の1ヵ月の受給金額は3万円ほどで、ただし香港の賃貸の最安ラインは5万円、6万円ほどで、つまりそれは「住む」どころか「凌ぐ」ことさえできないということだ。ただ香港にも国が運営する団地があり、そこだと受給者でも格安で借りられるらしいが、申請しても順番待ちで下手すると10年後にようやく自分の番がやってくるというような状況だそうだ。

ちなみに香港人の平均時給だが、飲食業関連の最低で33ドル(日本円で約450円)、専門職で80〜90ドル(約1100〜1300円)とのこと。

気のせいかもしれないが、不動産や土地に関する番組が多い香港のテレビ番組。

街の不動産屋の数も台湾に比べると明らかに多い。

皆、自分たちの「席」の確保に必死なのだ。

狭い相席は香港でもよく見る風景。写真:著者提供
生け簀も窮屈、喧嘩しないようプラスチックの檻の中に。写真:著者提供