日本における台湾ブームを牽引してきた著者(写真:著者提供)

職業不詳・中国語堪能なイケメンが、アジアに「微住」し続けるワケ

現地での“関係性作り”を目的とした旅

アジア微住のススメ

私は2011年からこれまで台湾と日本を行ったり来たりしながら、台湾と日本で共通で起きているカルチャーやムーブメントを「台日系カルチャー」と名付け、日台間でカルチャー誌『LIP 離譜』の発行をはじめ、企画やコーディネートのお仕事をしてきた。

最近では、昨年2017年冬に東京の蔵前に台湾カルチャーに特化したGallery&Cafe「台感」をプロデュースする機会もいただいた。

近年続く台湾ブームもあり、ますます日台間の交流やカルチャー、そしてビジネスは今後も盛り上がっていくだろう。

その一方で、この7年間僕自身ほとんど台湾にしか行っておらず、このタイミングを機に新しい取り組みを始めることにした。

「微住」という聞きなれない言葉。この言葉は一般的な観光旅行でもなく、完全な移住でもない、その中間、まさに文字通り、微妙に(ちょっと)住むというスタイルの造語である。

もともとは私の故郷である福井県のPR本を台湾のカルチャー誌『秋刀魚』とコラボして作った際にコンセプトとして用いたこの言葉。現地の生活を体験することに重きをおき、そこでの“関係性作り”を目的とした旅の提案である。

その発行を終え、次は日本人である私自身が、これまで行ってこなかったアジア各地に微住をしたいと考えた。

今後の理想の形は、現地での生活(2週間から1ヵ月)を通して、現地の言葉を習得したり、現地の人たちとの関係を作りながら、そこから小商いを考える、そんな生活がどの国に行ってもできるようになる自分づくりを考えている。

アジア各国を横断しながら、そんな微住ライフを発信していく、職業「アジアリンガル」(アジア+バイリンガル)になるための旅が今始まったばかりだ。

 

住所はアジア

アジア微住をするために東京の家は引き払い、12年間の東京生活は終了した。

よく「台湾の次はどこか?」という質問を受けることが多いが、その答えとして具体的な1つの国ということではないと思っている。

どこの国とも絡んでいく、それがアジア微住の魅力。

もし失敗したらあっかんべーでバイバイして、また移れば良い。

この時代、1つの職業、1つの国、1つの考えに固執するほど怖いものはない。

だから住所も「アジア」で良い。

アジアで「擬く」天使の存在に。

以前ある人から「田中くんって本当は台湾好きじゃないでしょ?」って聞かれたことがある。

最初はその質問にハッとさせられたが、のちに納得した。

もちろん台湾のことは大好きだし、台湾の友達もいっぱいいる。

でもその質問はそういうことを意図しているのではなく、僕自身が台湾を使い、自分を表現しているようにその人は見えたのだと思う。

そう、「擬く」という言葉が私に一番合っている気がする。

擬くの語源は、「日本の芸能で、主役に絡んだり、前に演じたものをこっけいにまねたりすること、またその役・演目」となっており、どこか僕はその存在に近い。

台湾に対してもこれまで一切台湾に住まず「まれびとの存在」として、台湾に接してきた。

それにより現地に住まないことにより、新鮮な目線で時に台湾人より台湾人を装い、僕は台湾を使って“遊んでいた”気がする。

iTunesも音楽業界から始まったわけではなく、Amazonも出版社から作られたものではない。

そう、外からやってきたまさに「天使」のような存在、その天使が新しいものを生み出すきっかけを運ぶ。

1ヵ国目に選んだのは香港。

香港の台所、街市(ガイシー)写真:著者提供

もともと香港映画が好きで、それもあってなのか広東語に対する興味も高く、まさにスクリーン内の雑踏感、コントラストの強さ、たえず変化していく香港の、日本にないアジア感に強い憧れがあった。

ただし、人口密度が世界でもトップクラスの香港はとても住みづらく家賃も高いということをよく耳にしていた。物価も東京以上と聞いて、これまで行き続けた「物価が安い」「住みやすい」と言われている台湾からの、そのギャップを最も感じれる中間圏として、まずは香港に決めた。