「次の自民党総裁に誰がふさわしい?」と聞く世論調査に意味はあるか

見え隠れするマス・メディアの邪心
菅原 琢 プロフィール

2018年自民党総裁選〜選択肢で変わる世論の印象

以上3つの例から「次の首相」調査の数字は、その政治家の人気/不人気を直接示すわけではないことがわかる。

特に総裁選(党首選)での議員や派閥の支持の広がりや候補者の中での知名度の差、あるいは報道の扱いの差が、「ふさわしい」政治家の選択に影響する。

そもそも次期首相候補とされる政治家について、多くの有権者はあまり知らないことがこの背景にある。

これに加えて、質問の仕方も回答分布に大きな影響を与える。今回の総裁選を例に見ておこう。

今回の総裁選では、多くの人々がよく知る現職の首相が明確な有力候補として再選を目指す一方、対抗馬に何人かの政治家が取りざたされたものの、立候補するとみられるのは現在のところ石破茂のみとなっている。

だが、7月の世論調査からは、そうした政界の状況とは異なる「世論」を伝えるものもある。

表1は各社の7月の調査結果を安倍現総裁の割合の高い順に並べたものである。

安倍の割合が高かった朝日新聞や共同通信、あるいはJNNの回答分布は安倍vs石破の構図となっている。

その一方、読売新聞・NNN、日経新聞・テレビ東京、FNN・産経新聞、ANN、毎日新聞の5つの調査では、小泉進次郎を含めた3つ巴の構図と、かなり異なる印象の結果が示されている。毎日を除く4つでは小泉がトップとなっている。

 

この差は、調査の選択肢に各社が小泉を含めたかどうかで生じている。世論調査の質問はその選択肢の構成によって回答分布が変わり、世論の印象も大きく変わりうるものである。

この点は質問の聞き方についても言える。表1の右には、「わからない」などの選択肢となった議員以外の回答割合の合計を示している。これを見ると朝日新聞(37%)と読売・NNN(13%)との間で3倍近い開きがあることがわかる。

各社の回答聴取の段取りの詳細はあまり明らかになっておらず、質問文や内閣支持等の他の質問における傾向からの推測を含むが、朝日や毎日のように「そのほかの回答」割合の合計が高い場合には「この中にはいない」という選択肢を含めていると思われる。

逆に読売や日経のように低い場合にはこれを含めておらず、さらに「わからない」、「答えない」等の回答者にも「強いて言えば誰か」と重ねて聞いていると考えられる。