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「次の自民党総裁に誰がふさわしい?」と聞く世論調査に意味はあるか

見え隠れするマス・メディアの邪心

「次の首相」調査の意味とは何か?

9月に行われる自民党総裁選では早くから安倍晋三首相の3選が有力とされてきた。それでもマス・メディア各社は、総裁選を盛り上げるべく派閥や有力政治家の動向を追っている。

メディアがこの“イベント”を彩るための道具のひとつが、「次の自民党総裁」を聞く世論調査である。この種の調査の質問形式はさまざまだが、最近は次の総裁に「ふさわしい」のは誰かを選択肢から回答者に選んでもらうのが一般的である。

各社は、この回答を集計し、紙面や番組でその割合や順位の推移を報じる。この調査での各政治家の回答割合や順位は、その政治家の支持率や人気のバロメーターという印象を与える。総裁選前に幾度も調査を行うのは、そのような世論を表出させたいためだろう。

このような調査をここでは「次の首相」調査と呼ぶこととする。今回の場合、「次の総裁」を聞く場合が多いようだが、これは現職首相の辞任を受けての総裁選ではないことを考慮してのことと思われる。何にせよ、マス・メディアにとって「次の首相」が誰になるかは重要な関心事であるため、このような調査が行われるのである。

もっとも、この「次の首相」調査の結果が何を意味しているのかは、よく考えた方がよい。過去のデータを確認していくと、「次の首相」調査の数字を人気や支持率と単純に解釈することは間違いであることがわかる。

本稿では、過去の3つの例と今回の総裁選の例を確認することで、この調査の意味を議論しておきたい。

 

2001年自民党総裁選〜急激に数字を伸ばした小泉純一郎

森喜朗首相の後継を選んだこの総裁選では、小泉純一郎が自民党員の6割以上の票を獲得し、国会議員による投票を待たずに圧勝の流れを呼び込んだ。

しかし、総裁選に入る前に行われた世論調査で小泉は、そこまでの“支持”を集めていたわけではなかった。

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たとえば、2月に行われた朝日新聞の世論調査において誰が首相に「一番良い」か自由回答で聞いたところ、小泉と回答した割合は8%であった。

しかし、総裁候補4人のうち「自民党の総裁にはだれがよい」と思うか選択式で聞いた同年4月の朝日新聞の世論調査では、小泉を選択した割合は51%にも達している。

総裁選前の小泉はいわゆるYKKのひとりとして一定の知名度はあったものの、総裁選時に盛んに報じられたような「人気」があったわけではなかった。

実際、過去に出馬した総裁選では「ブーム」は生じていない。当時の人気政治家であった田中真紀子の支持と協力を得たうえで行った選挙運動中の数々の主張、発言を、テレビを中心とするマス・メディアが大きく報じたことが世論調査の数字を動かしたと言える。

言い換えれば多くの回答者は小泉の主張や政策を2001年総裁選期間中にはじめて知り、それを支持するようになったのだと言える。