米シリコンバレーにおける投資ブームが過熱し、バブルの様相を呈してきた。景気循環の指標と照らし合わせると、「リセッション(景気後退)の前兆」とする見方もある。
https://www.nytimes.com/2018/08/14/technology/venture-capital-mega-round.html
上の記事によれば、シリコンバレーでは今、「メガ・ラウンド」と呼ばれる巨額投資が続出しているという。
メガ・ラウンドとは、前途有望なスタートアップ(新興企業)にベンチャー・キャピタル等から一挙に1億ドル(110億円)以上もの巨額投資が集まることを指す。
従来、メガ・ラウンドは稀にしか見られなかったが、ここ数年で急増し、昨年は273件。今年は7月時点で既に268件に達し、年末までに記録を塗り替えることが確実視されている。
メガ・ラウンドの主な投資対象としては、「オンライン・ペイメント」や「オンライン・クラシファイド(3行広告)」、あるいは「データ・ストレージ」など、インターネット・IT系の企業が相変わらず多い。
これらをざっと眺めただけでは、それほど目新しいアイディアに基づくスタートアップとも思えないが、それでも巨額投資が集まる背景には、アジア系投資ファンドのシリコンバレー進出がある。
具体的には、今年7月までに中国のテンセント・ホールディングスが31件、日本のソフトバンク・ビジョンファンドが18件のメガ・ラウンドを実施。この後にシンガポールの政府系ファンドや中国のアリババ、さらにセコイア・キャピタル・チャイナなどが続いている。
従来は、スタートアップの成長度合いを見ながら、徐々に資金を投下していくのがシリコンバレー流のやり方だった。これに対しアジア系ファンドは、そうした小刻みの投資スタイルでは時間がかかる上、巨額のリターンが見込めないとして、一挙に1億ドル以上の小切手を切ることが珍しくない。